映画『ハムナプトラ2 黄金のピラミッド』を紹介&解説。
映画『ハムナプトラ2 黄金のピラミッド』概要
映画『ハムナプトラ2 黄金のピラミッド』は、『ハムナプトラ 失われた砂漠の都』の続編としてスティーヴン・ソマーズ監督が手がけた、古代の呪いと秘宝を巡るファンタジーアクション大作。復活した邪悪なミイラの脅威が迫るなか、夫婦とその息子が世界の命運を左右する戦いへ巻き込まれていく。出演はブレンダン・フレイザー、レイチェル・ワイズ、ジョン・ハナー、共演にアーノルド・ヴォスルーら。
作品情報
日本版タイトル:『ハムナプトラ2 黄金のピラミッド』
原題:The Mummy Returns
製作年:2001年
日本公開日:2001年6月9日
ジャンル:アクション/アドベンチャー/ファンタジー
製作国:アメリカ
原作:無
上映時間:129分
前作:『ハムナプトラ 失われた砂漠の都』(1999)
次作:『ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝』(2008)
スピンオフ作品:『スコーピオン・キング』(2002)
監督:スティーヴン・ソマーズ
脚本:スティーヴン・ソマーズ
製作:ショーン・ダニエル/ジェームズ・ジャックス
製作総指揮:ボブ・ダクセイ/ドン・ゼップフェル
撮影:エイドリアン・ビドル
編集:ボブ・ダクセイ/ケリー・マツモト
作曲:アラン・シルヴェストリ
出演:ブレンダン・フレイザー/レイチェル・ワイズ/ジョン・ハナー/アーノルド・ヴォスルー/オデッド・フェール/パトリシア・ヴェラスケス/ドウェイン・ジョンソン
製作:ユニバーサル・ピクチャーズ/アルファヴィル・フィルムズ
配給:ユニバーサル・ピクチャーズ
あらすじ
1933年。冒険家リックとエヴリンは、幼い息子アレックスを連れて古代遺跡を訪れる。だが発見した腕輪をきっかけに、封印された邪悪な力が再び動き出す。やがて家族は、誘拐された息子を救い世界の命運を守るため、古代の呪いと伝説の軍勢を巡る新たな壮大で危険な戦いへと身を投じていく。
主な登場人物(キャスト)
リック・オコーネル(ブレンダン・フレイザー):エヴリンの夫でアレックスの父。再び蘇ったイムホテップと、さらに強大な“もうひとつの脅威”に立ち向かい、家族を守るため危険な追跡と戦いに身を投じる。
エヴリン・オコーネル(レイチェル・ワイズ):リックの妻でアレックスの母。考古学の知識を持つ中心人物であり、今回は古代エジプトの因縁と自らの存在がより深く結びついていく。
アレックス・オコーネル(フレディ・ボース):リックとエヴリンの息子。アヌビスの腕輪を装着したことで冒険の鍵を握る存在となり、両陣営から狙われる。
ジョナサン・カーナハン(ジョン・ハナー):エヴリンの兄。相変わらず調子のいい一面を見せつつ、オコーネル一家の危機に巻き込まれ、今回も冒険に同行する。
アーデス・ベイ(オデッド・フェール):メジャイの戦士で、オコーネル一家の頼れる協力者。復活したイムホテップの脅威を阻むため、再び前線に立つ。
イムホテップ(アーノルド・ヴォスルー):かつて倒された古代の大神官。今回は教団によって復活させられ、スコーピオン・キングの力を利用しようとする。
アナクスナムン(パトリシア・ヴェラスケス):イムホテップ復活を支える女性で、物語が進むにつれて古代王宮の因縁を色濃く背負う存在として描かれる。
スコーピオン・キング/マサイアス(ドウェイン・ジョンソン ※ザ・ロック名義):古代の戦士で、物語全体の争奪の核心にある伝説的存在。イムホテップさえ利用しようとする、より大きな脅威として位置づけられる。
主な受賞&ノミネート歴
第28回サターン賞
最優秀ファンタジー映画賞、メイクアップ賞、視覚効果賞、若手俳優賞にノミネート。
内容(ネタバレ)
スコーピオン・キングの伝説
物語は、古代エジプトの戦士スコーピオン・キングの敗走から始まる。死の淵に追い込まれた彼は、勝利と引き換えにアヌビスへ魂を差し出し、黄金のピラミッドと軍勢を得る。だが役目を終えると、その魂も軍勢も再び冥界へ返される。
1933年、オコーネル一家と“アヌビスの腕輪”
時代は1933年。前作の戦いから7年後、リックとエヴリンは息子アレックスを連れて遺跡を探索し、スコーピオン・キングにまつわる“アヌビスの腕輪”を発見する。ロンドンへ戻った後、アレックスがその腕輪をはめると外れなくなり、失われたオアシス“アム・シェア”へ導く幻視を見るようになる。
教団の暗躍とイムホテップ復活
その裏では、ハフェズらの教団がイムホテップ復活を計画していた。エヴリンは拉致され、大英博物館の地下で“死者の書”を使った儀式が行われる。リックとアーデス・ベイは突入してエヴリンを救い出すが、教団の狙いは、イムホテップにスコーピオン・キングを倒させ、アヌビスの軍勢を支配することにあると分かる。
ロンドンでの攻防とアレックス誘拐
救出後の攻防で、今度はアレックスが教団にさらわれる。腕輪を着けた彼だけがアム・シェアへの道筋を示せるからである。イムホテップ自身もアム・シェアへ向かうことを宣言し、リックたちはジョナサン、アーデス、旧友イジーの助けを得て追跡に乗り出す。アレックスは移動の途中で、両親に伝わるよう手掛かりを残していく。
前世の記憶と中盤への入り口
追跡の過程で、イムホテップはアナクスナムンを取り戻そうとし、その流れの中でエヴリンにもネフェルティリとしての前世の記憶がよみがえっていく。やがて一行はアム・シェアへ迫るが、イムホテップは水を操る力で飛行船を襲撃。飛行船はオアシスの密林地帯へ墜落し、物語は本格的な後半戦へ入っていく。ここまでが、おおむね本作の中盤までの流れである。
アム・シェア到着後の攻防
飛行船の墜落後、リックたちはアム・シェアの密林へ入り、教団側もろともピグミー・ミイラの襲撃を受ける。混戦の中でリックはアレックスを取り戻し、アーデス・ベイはロック・ナーを討つ。こうして追跡劇は、黄金のピラミッドを目指す最終局面へ一気に絞られていく。
腕輪のタイムリミットとエヴリンの死
アレックスは、朝日が黄金のピラミッドに差し込む前に内部へ入らなければ命を落とす状況に置かれていた。リックは息子を連れてぎりぎりで内部へ駆け込み、腕輪を外すことに成功する。だが安堵も束の間、外でエヴリンがアナクスナムンに刺され、リックの目前で倒れてしまう。
ピラミッド内部で始まる最終決戦
黄金のピラミッド内部では、イムホテップがスコーピオン・キングを呼び出すが、その場では不死の力を失い、ひとりの人間として戦わざるを得なくなる。同時にハフェズはアヌビスの軍勢を呼び出し、外ではアーデス率いるメジャイと怪物軍の総力戦が始まる。リックもまた、巨大な怪物の姿となったスコーピオン・キングとの直接対決へ追い込まれていく。
エヴリンの復活と“オシリスの杖”の正体
その一方で、ジョナサンとアレックスは“死者の書”を奪い返し、エヴリンを蘇生させる。リックは壁画と紋章から、ジョナサンが持っていたオシリスの杖こそ、伸ばして槍に変形させることでスコーピオン・キングを倒せる唯一の武器だと悟る。ここで物語は、家族の再結集と決着の条件が同時に揃う。
スコーピオン・キング撃破とアヌビス軍消滅
エヴリンはアナクスナムンとの戦いに入り、リックはアレックスたちから渡された槍でスコーピオン・キングにとどめを刺す。王が倒れたことで、アヌビスの軍勢も冥界へ引き戻され、外の戦局も終息へ向かう。ハフェズもこの混戦の中で命を落とし、教団側の計画は完全に崩壊する。
イムホテップとアンク・ス・ナムンの最期
戦いの後、崩壊し始めた遺跡の深部で、リックとイムホテップは奈落の縁に取り残される。エヴリンは危険を承知でリックを救い上げるが、イムホテップが同じように助けを求めたとき、アナクスナムンは彼を見捨てて逃走する。その姿を見たイムホテップは絶望し、自ら奈落へ落ちていく。一方のアナクスナムンも、逃げた先でサソリの群れの穴へ落下して命を落とす。
崩壊するオアシスからの脱出と幕引き
スコーピオン・キングの死とともにアム・シェア全体は崩壊を始め、リックたちは遺跡からの脱出を急ぐ。最終的に一行は修理を終えたイジーの飛行船で脱出し、オアシスは跡形もなく砂漠へ沈む。こうして、アレックスを救う戦いと世界規模の危機は終息する。
作品解説|魅力&テーマ
前作の魅力をそのまま拡張した、王道アドベンチャー続編
本作最大の魅力は、前作『ハムナプトラ/失われた砂漠の都』で支持された“軽快な会話劇”“夫婦の掛け合い”“古代文明へのロマン”を、そのままスケールアップしている点にある。ミイラや古代遺跡、伝説の軍勢、飛行船、砂漠のオアシスなど、少年冒険小説のような要素が次々に登場し、テンポよく進む展開も含めて、シリーズらしい娯楽性は健在である。
一方で、視覚効果については前作以上にCGへの依存が強まり、やや時代を感じさせる部分もある。特に終盤に登場するスコーピオン・キングのCGは、現在でも本作の弱点として挙げられることが多く、実写とデジタル表現のなじみ方という点では、むしろ前作の方が自然だったようにも思える。
家族冒険ものとして面白い一方、焼き直し感も強い
今回はリックとエヴリンに息子アレックスが加わり、“家族を守るための冒険”という要素が前面に押し出されている。そのため、前作よりもホームドラマ的な温かさが増しており、危機の中でも軽口を叩き合いながら進む一家のやり取りには、シリーズならではの親しみやすさがある。親子の絆や夫婦の連携が物語の軸になることで、単なる秘宝争奪戦にとどまらない感情的な見どころも加わっている。
ただし、物語の構造自体は“古代の秘宝を見つける”“イムホテップが復活する”“さらわれた人物を追って砂漠へ向かう”という流れが前作とかなり近く、続編としての新鮮さや独自性はやや弱い。また、危険な遺跡に幼い息子を連れて行くリック夫妻の判断や、キスしている間に息子をさらわれる注意散漫さなど、少々“頭がお花畑”に見えてしまう場面もある。シリーズらしい明るさとして受け取ることもできるが、人によっては少しストレスを感じる部分かもしれない。
“ロック様”の映画人生が始まった記念碑的な1本
本作は、後にハリウッドを代表するアクションスターとなるドウェイン・ジョンソンが、“ザ・ロック”名義で出演した長編映画デビュー作でもある。登場時間そのものは長くないものの、スコーピオン・キングという役は作品全体の鍵を握る存在であり、後のスピンオフ『スコーピオン・キング』にもつながる重要なキャラクターである。
現在のドウェイン・ジョンソンと比べると、まだ演技には粗さがあり、表情や台詞回しもやや平坦で、圧倒的なカリスマ性が完成しているわけではない。それでも、WWE時代の“ロック様”らしい存在感は十分にあり、ここから世界的スターへの道が始まったと思うと感慨深い。現在の彼を知っている人ほど、“ここが原点だったのか”という面白さを味わえる1本である。
作品トリビア
ドウェイン・ジョンソンは、サハラ砂漠ロケでかなり体調を崩していた
ジョンソンは後年、本作の撮影時にサハラ砂漠で体調を崩し、気温43度前後の環境で震えながら毛布をかぶっていたと語っている。一方、当時のプロダクションノートでも、彼がモロッコのエルフード近郊で早朝2時起き、3時間のメイクを経て撮影に臨んでいたことが紹介されており、映画初出演がかなり過酷な現場だったことが分かる。
ブレンダン・フレイザーは、実は“完成形のスコーピオン・キング”と共演していない
現在では終盤のCGスコーピオン・キングも本作の語り草だが、ブレンダン・フレイザーによれば、撮影現場で相手にしていたのはドウェイン本人ではなく、“長い棒の先についた大きなオレンジ色の印”のような目印だったという。つまり、リックが対峙している相手の多くはポストプロダクションで作られたデジタル存在であり、フレイザーはジョンソン本人とはプレミアで初めて顔を合わせたと振り返っている。
続編ではVFXを前作以上に進化させようとしていた
本作のVFXは、当時の製作側が前作以上を明確に狙っていたことが資料から確認できる。プロダクションノートでは、ILMのジョン・バートンが、前作からこの2年で技術が大きく進歩したと説明し、その新しいCG技術をイムホテップやスコーピオン・キングの表現に投入したと述べている。いま見ると賛否の分かれる部分もあるが、少なくとも製作時点では“前作を上回る視覚効果”を目指した攻めた続編だったことは確かである。
アレックス役のフレディ・ボースは、前作を何十回も見ていた
息子アレックスを演じたフレディ・ボースは、本作がスクリーンデビュー作だった。当時ブレンダン・フレイザーは、ボースが前作『ハムナプトラ/失われた砂漠の都』を30回から40回は見ていたと明かしており、細かなニュアンスにも気づいて現場で指摘するほどだったと語っている。子役にして、シリーズ世界を深く理解したうえで参加していたのは面白いポイントである。
ライター/エディター/映画インスタグラマー。2019年に早稲田大学法学部を卒業。東京都職員として国際業務等を経験後、ライター業に転身。各種SNS(Instagram・X)やYouTubeチャンネル「cula 見て聞く映画マガジン(旧:アルテミシネマ)」においても映画や海外ドラマ、音楽といったカルチャーに関する情報レビューを発信している。
