映画『グリンチ』(2018)を紹介&解説。
アニメ映画『グリンチ』概要
映画『グリンチ』は、『怪盗グルー』シリーズや『ミニオンズ』で知られるイルミネーションが、ドクター・スースの名作絵本『いじわるグリンチのクリスマス』をもとに描いたアニメーション映画。クリスマスが大嫌いなひねくれ者グリンチが、フーヴィルの村からクリスマスを盗もうとする騒動を、色鮮やかな映像とユーモア、そして心温まるドラマで描く。オリジナル版ではベネディクト・カンバーバッチ、日本語吹替版では大泉洋がグリンチの声を担当している。
作品情報
| 日本版タイトル | 『グリンチ』 |
|---|---|
| 原題 | The Grinch |
| 製作年 | 2018年 |
| 本国公開日 | 2018年11月9日 |
| 日本公開日 | 2018年12月14日 |
| ジャンル | アニメーション/ファミリー/コメディ/ファンタジー |
| 製作国 | アメリカ |
| 原作 | ドクター・スース『いじわるグリンチのクリスマス』(絵本) |
| 上映時間 | 86分 |
| 関連作品 | 『グリンチ』(2000) |
| 監督 | スコット・モシャー/ヤーロウ・チェイニー |
|---|---|
| 脚本 | マイケル・ルシュール/トミー・スワードロー |
| 製作 | クリス・メレダンドリ/ジャネット・ヒーリー |
| 製作総指揮 | ラティファ・ワウ/オードリー・ガイゼル/クリス・ルノー |
| 編集 | クリス・カルタヘナ |
| 作曲 | ダニー・エルフマン |
| 出演 | ベネディクト・カンバーバッチ/キャメロン・シーリー/ラシダ・ジョーンズ/キーナン・トンプソン/アンジェラ・ランズベリー/ファレル・ウィリアムス |
| 日本語吹替 | 大泉洋/横溝菜帆/杏/秋山竜次/京田尚子/宮野真守 |
| 製作 | イルミネーション |
| 配給 | ユニバーサル・ピクチャーズ/東宝東和(日本) |
あらすじ
フーヴィルの村では、今年もクリスマスの準備が進んでいた。村人たちは華やかな飾りつけや贈り物に胸を弾ませているが、山の上の洞窟で暮らすグリンチだけは、クリスマスが大嫌い。愛犬マックスと孤独に暮らす彼は、村人たちの楽しげな様子に我慢できず、ついにクリスマスそのものを盗み出す計画を思いつく。
一方、村に住む心優しい少女シンディ・ルーは、毎日忙しく働く母ドナを助けたいと願い、サンタクロースに直接お願いをしようと計画していた。グリンチの“クリスマスを盗む作戦”と、シンディ・ルーの“サンタを捕まえる作戦”が近づいていく中で、グリンチの固く閉ざされた心にも少しずつ変化が訪れていく。
主な登場人物(キャスト)
グリンチ(ベネディクト・カンバーバッチ/日本語吹替:大泉洋):クリスマスを心から嫌っている緑色のひねくれ者。フーヴィルを見下ろす山の洞窟で、愛犬マックスと暮らしている。村人たちのにぎやかなクリスマス騒ぎに耐えきれず、クリスマスを盗む計画を立てる。
シンディ・ルー(キャメロン・シーリー/日本語吹替:横溝菜帆):フーヴィルに暮らす心優しい少女。忙しく働く母を助けたいという願いを持ち、サンタクロースに直接お願いをするため、友人たちとある作戦を考える。
ドナ(ラシダ・ジョーンズ/日本語吹替:杏):シンディ・ルーの母。子どもたちのために日々奮闘する働き者で、家族を支えるために忙しい毎日を送っている。
ブリクルバウム(キーナン・トンプソン/日本語吹替:秋山竜次):フーヴィルの陽気な住人。クリスマス精神にあふれた人物で、グリンチの近所に住み、本人の拒絶的な態度にもめげずに親しげに接する。
マクガークル村長(アンジェラ・ランズベリー/日本語吹替:京田尚子):フーヴィルの村長。村のクリスマス行事を見守る立場にあり、住人たちとともに祝祭ムードを盛り上げる。
ナレーター/天の声(ファレル・ウィリアムス/日本語吹替:宮野真守):物語を語る存在。グリンチの行動やフーヴィルで起きる出来事を、ユーモアと温かみを交えながら観客へ伝えていく。
マックス:グリンチの忠実な愛犬で、彼にとって数少ない身近な存在。無茶な計画に巻き込まれながらも、グリンチを支え続ける。
フレッド:グリンチが計画のために出会う大きなトナカイ。見た目のインパクトと愛嬌で、物語にコミカルな魅力を加える。
作品の魅力解説
イルミネーションらしい鮮やかな映像表現
『グリンチ』の大きな魅力は、フーヴィルの街並みやクリスマスの装飾を、イルミネーションらしいポップで立体的なビジュアルに落とし込んでいる点にある。雪景色、家々の飾りつけ、巨大なクリスマスツリー、グリンチの洞窟に仕掛けられたガジェットなど、子どもにも大人にも伝わりやすい視覚的な楽しさが詰め込まれている。
“クリスマス嫌い”の背景にある孤独
本作のグリンチは、ただ意地悪な悪役として描かれるわけではない。なぜ彼がクリスマスを嫌うようになったのか、なぜ他人の幸せを素直に受け止められないのかが、孤独や過去の記憶と結びつけて描かれる。コメディ色の強い物語でありながら、グリンチの心の痛みにも寄り添う構成が印象的だ。
シンディ・ルーとの対比が生む温かさ
グリンチが“クリスマスを奪う”ために動く一方で、シンディ・ルーは“母を助けたい”という思いからサンタに会おうとする。自己防衛から他人を遠ざけるグリンチと、誰かのために行動するシンディ・ルーの対比が、物語の感情的な軸になっている。彼女の純粋な優しさが、グリンチの心を動かしていく展開も本作の見どころだ。
ベネディクト・カンバーバッチと大泉洋、両版で異なる魅力
オリジナル版では、ベネディクト・カンバーバッチが皮肉屋で孤独なグリンチをコミカルに演じている。日本語吹替版では、大泉洋がグリンチの偏屈さや憎めなさを表現し、より親しみやすいキャラクターとして成立させている。吹替版には杏、秋山竜次、横溝菜帆、宮野真守らも参加しており、日本の観客に向けた声の魅力も大きい。
子ども向けでありながら、大人にも刺さるテーマ
表面的には明るいクリスマス・アニメーションだが、本作が描いているのは、祝祭から取り残された人の孤独や、人とのつながりを取り戻す過程でもある。にぎやかな季節ほど寂しさが際立つという感情を、グリンチというキャラクターを通してわかりやすく描いている点が、本作を単なるファミリー映画にとどめていない。
