『スナッチ』とはどんな映画?あらすじ・キャスト・魅力・レビューまとめ

映画『スナッチ』(2000)を紹介&解説。


映画『スナッチ』概要

映画『スナッチ』は、『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』で注目を集めたガイ・リッチー監督が、ロンドンの犯罪社会を舞台に描いたクライムコメディ。86カラットのダイヤモンドをめぐる争奪戦と、非合法ボクシングの八百長騒動が並行して進み、やがて多数の悪党たちの思惑が複雑に絡み合っていく。出演はジェイソン・ステイサム、ブラッド・ピット、ベニチオ・デル・トロ、デニス・ファリーナ、ビニー・ジョーンズら。

作品情報

日本版タイトル 『スナッチ』
原題 Snatch
製作年 2000年
本国公開日 2000年9月1日(イギリス)
日本公開日 2001年3月10日
ジャンル クライム/コメディ/アクション
製作国 イギリス/アメリカ
原作 無
上映時間 102分
監督・脚本 ガイ・リッチー
製作 マシュー・ヴォーン
製作総指揮 ピーター・モートン/スティーヴ・ティッシュ/スティーヴン・マークス/アンガッド・ポール/トルーディ・スタイラー
撮影 ティム・モーリス=ジョーンズ
編集 ジョン・ハリス
作曲 ジョン・マーフィー
出演 ジェイソン・ステイサム/ブラッド・ピット/スティーヴン・グレアム/ベニチオ・デル・トロ/デニス・ファリーナ/ビニー・ジョーンズ/アラン・フォード/ラデ・シェルベッジア
製作 SKAフィルムズ/コロンビア・ピクチャーズ
配給 コロンビア・トライスター/スクリーン・ジェムズ/ソニー・ピクチャーズ(日本)

あらすじ

ベルギーのアントワープで、強盗団が86カラットもの巨大なダイヤモンドを強奪する。運び役を任されたフランキー・フォー・フィンガーズは、ダイヤモンドを届けるためロンドンへ向かうが、その価値を知る武器商人ボリスによって罠を仕掛けられてしまう。

一方、非合法ボクシングのプロモーターであるターキッシュと相棒のトミーは、裏社会のボス、ブリック・トップが仕切る八百長試合に参加することになる。しかし、出場予定だった選手が、アイリッシュ・トラベラーの格闘家ミッキーに倒されてしまったため、急きょミッキーを代役として起用する。

ところが、誰にも行動を読ませないミッキーは、八百長の筋書きを無視して相手を一撃でノックアウト。怒り狂うブリック・トップから次の試合で確実に負けるよう命じられたターキッシュたちは、絶体絶命の状況へ追い込まれる。

やがてダイヤモンドを追うギャング、殺し屋、武器商人、間の抜けた強盗たちが入り乱れ、ダイヤ争奪戦と八百長ボクシングというふたつの騒動が思いがけない形で交差していく。

主な登場人物(キャスト)

ターキッシュ(ジェイソン・ステイサム):非合法ボクシングのプロモーターで、本作の語り手。相棒のトミーとともに興行を運営しているが、ブリック・トップの八百長試合に関わったことで窮地に追い込まれる。

ミッキー・オニール(ブラッド・ピット):驚異的なパンチ力を持つアイリッシュ・トラベラーの格闘家。強烈な訛りで話し、何を考えているのか容易には読ませない。ターキッシュから八百長試合への出場を依頼される。

トミー(スティーヴン・グレアム):ターキッシュの相棒。頼りないところがあるものの、常にターキッシュと行動をともにする。トレーラーハウスを購入しようとしたことが、ミッキーとの出会いにつながる。

フランキー・フォー・フィンガーズ(ベニチオ・デル・トロ):アントワープで強奪した86カラットのダイヤモンドをロンドンへ運ぶ男。ギャンブルに目がなく、その弱点を利用されて罠にはめられる。

アビー(デニス・ファリーナ):ニューヨークを拠点とする裏社会の大物。行方不明になったフランキーとダイヤモンドを捜すため、ロンドンへ乗り込む。

ブレット・トゥース・トニー(ビニー・ジョーンズ):アビーに雇われた凄腕の用心棒。銃弾を受けても生き延びたという伝説を持ち、ダイヤモンドの行方を追ってロンドンの悪党たちを締め上げる。

ブリック・トップ(アラン・フォード):非合法ボクシングと賭博を支配する冷酷な犯罪組織のボス。残忍な脅迫によって八百長試合を成立させようとし、ターキッシュたちを追い詰めていく。

ボリス・“ザ・ブレイド”・ユーリノフ(ラデ・シェルベッジア):元KGBと噂されるロシア人の武器商人。異常なほど頑丈な肉体を持ち、フランキーが運ぶダイヤモンドを奪おうと画策する。

作品の魅力解説

複数の騒動が鮮やかにつながるクライム群像劇

本作では、巨大なダイヤモンドを奪い合う犯罪者たちの物語と、八百長試合に巻き込まれたボクシング興行師たちの物語が同時進行する。登場人物が多く、序盤はそれぞれの関係を把握しにくいところもあるが、別々に見えた事件が少しずつ接近し、最終的にひとつの大きな騒動としてつながっていく構成は爽快だ。

綿密な計画を立てた悪党ほど予想外の失敗を重ね、偶然や勘違いが物語を大きく動かしていく。複雑な人物関係を、重苦しくなりすぎないブラックユーモアと軽快なテンポで見せる点が、本作の大きな持ち味である。

ボクシング場面に凝縮されたスタイリッシュな演出

急速なカット割り、スローモーション、極端なクローズアップ、音楽と効果音を組み合わせた編集など、ガイ・リッチーらしい視覚的な技巧が随所に盛り込まれている。とりわけミッキーが出場するボクシング場面は、拳の衝撃や意識が遠のく感覚まで映像で表現し、短い場面の中に緊張、笑い、興奮を同居させている。

暴力的な場面でありながら、現実的な格闘描写に徹するのではなく、漫画的な誇張や音楽的なリズムを優先している。そのため試合の結果だけではなく、どのような映像表現で決着を見せるのかという点でも観客を引きつける。

豪華キャストが作り上げる悪党たちの存在感

ジェイソン・ステイサム、ブラッド・ピット、ベネチオ・デル・トロ、デニス・ファリーナ、ビニー・ジョーンズら、個性の異なる俳優が一堂に会する豪華な群像劇である。仕立てのよいスーツ、ロングコート、毛皮のコート、トラックスーツなど、衣装とシルエットだけでも人物の立場や性格が伝わる。

なかでもブラッド・ピットは、聞き取りが困難なほど強い訛りで話すミッキーを怪演。ジェイソン・ステイサムは、凶悪な人物たちに振り回されながらも状況を冷静に観察するターキッシュを演じ、観客を混沌とした物語へ案内している。登場人物の多くが犯罪者でありながら、どこか間が抜けているため、緊張感のある状況を笑いながら楽しめる。

一匹の犬まで物語の重要人物になる

悪党たちが大金と命を懸けてダイヤモンドを奪い合う一方、その行方を大きく左右するのが、ヴィニーたちに拾われた一匹の犬である。何でも飲み込んでしまう犬の習性が、複雑な犯罪計画を思いもよらない方向へ転がしていく。

犬は単なるマスコットではなく、登場人物同士を結びつけ、物語の偶然を成立させるキーパーソンならぬ“キードッグ”として機能している。人間たちが知恵を絞って争うほど、一匹の犬に状況をかき回されるという構図も、本作らしい皮肉な笑いになっている。

批評が分かれた「スタイル優先」の作風

Rotten Tomatoesにおける批評家スコアは74%である一方、MetacriticのMetascoreは55点と、公開当時の批評は必ずしも一枚岩ではなかった。切れ味のよい会話、ブラックコメディ、テンポの速い編集は評価されたが、前作『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』の作風を繰り返していることや、内容よりもスタイルを優先していることを批判する声もあった。

実際、人物の心理や犯罪社会の現実を深く掘り下げる作品ではない。複雑な構成、派手な演出、強烈なキャラクターを猛スピードで衝突させることに重点が置かれている。その軽薄さを欠点と捉えるか、徹底した娯楽性と捉えるかによって評価が分かれる作品だが、笑いと興奮を詰め込んだテンポのよいクライム群像劇としては、ガイ・リッチーの個性が明確に表れた一本である。

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