映画『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021)を紹介&解説。
映画『DUNE/デューン 砂の惑星』概要
映画『DUNE/デューン 砂の惑星』は、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督(『メッセージ』『ブレードランナー 2049』)が手がけた壮大なSFアドベンチャー。未来を見る力を持つ名家の青年が、一族と移住した砂の惑星で陰謀に巻き込まれ、苛烈な戦いと自らの宿命に向き合っていく。主演はティモシー・シャラメ、共演にレベッカ・ファーガソン、オスカー・アイザック、ゼンデイヤら実力派が顔をそろえる。
作品情報
原題:Dune
製作年:2021年
日本公開日:2021年10月15日
ジャンル:SF/冒険
製作国:アメリカ/イギリス/カナダ/ハンガリー
原作:フランク・ハーバート『デューン/砂の惑星』(小説)
上映時間:155分
リメイク元:『デューン/砂の惑星』(1984)
次作:『デューン 砂の惑星PART2』(2024)
監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
製作:ドゥニ・ヴィルヌーヴ、メアリー・ペアレント、ケイル・ボイター
製作総指揮:タニア・ラポワント、ブライアン・ハーバート、バイロン・メリット、トーマス・タルほか
脚本:ドゥニ・ヴィルヌーヴ、ジョン・スペイツ、エリック・ロス
撮影監督:グレイグ・フレイザー
編集:ジョー・ウォーカー
音楽:ハンス・ジマー
出演:ティモシー・シャラメ、レベッカ・ファーガソン、オスカー・アイザック、ジョシュ・ブローリン、ゼンデイヤ、ジェイソン・モモア、ハビエル・バルデム、ステラン・スカルスガルドほか
製作:レジェンダリー・ピクチャーズ、ヴィルヌーヴ・フィルムズ
配給:ワーナー・ブラザース・ピクチャーズ
あらすじ
遥かな未来。宇宙帝国の統治下、名家の青年ポールは一族とともに砂の惑星へ移住する。だが希少資源を巡る陰謀により、一族は壊滅的な打撃を受ける。過酷な環境と先住民との出会いの中で、ポールは自らの力と宿命に目覚め、やがて大きな運命の渦へと踏み出していく。
主な登場人物(キャスト)
ポール・アトレイデス(ティモシー・シャラメ):未来を予知する力を秘めた名家の後継者。過酷な運命に翻弄されながら、自身の役割と向き合っていく。
レディ・ジェシカ(レベッカ・ファーガソン):ポールの母であり、特殊な訓練を受けた女性集団の一員。息子を導きつつ、複雑な立場の中で決断を迫られる。
レト・アトレイデス公爵(オスカー・アイザック):ポールの父でアトレイデス家当主。高潔な統治者として新たな惑星の統治を任される。
ダンカン・アイダホ(ジェイソン・モモア):アトレイデス家に忠誠を誓う剣士。高い戦闘能力と人望でポールを支える。
ガーニイ・ハレック(ジョシュ・ブローリン):武術指南役としてポールを鍛える歴戦の戦士。厳しさと情の両面を持つ。
チャニ(ゼンデイヤ):砂の惑星に生きる先住民の女性。ポールの前に現れ、彼の運命に深く関わっていく存在。
スティルガー(ハビエル・バルデム):砂漠の民を率いる指導者。外部から来たポールを見極めようとする。
ウラディミール・ハルコンネン男爵(ステラン・スカルスガルド):冷酷な支配者。資源を巡る陰謀を仕掛け、アトレイデス家と対立する。
グロッス・ラッバーン(デイヴ・バウティスタ):男爵の甥で残忍な戦士。力で支配することを信条とする。
ドクター・ユエ(チャン・チェン):アトレイデス家に仕える医師。信頼される存在だが、内に葛藤を抱えている。
リエト・カインズ(シャロン・ダンカン=ブリュースター):帝国の任命を受けた惑星の調査官。外部と先住民の狭間で揺れる立場にある。
簡易レビュー・解説
フランク・ハーバートの古典的SF小説を原作に、ドゥニ・ヴィルヌーヴが壮大なスケールで映像化した本作は、原作の世界観を尊重しながら現代的な映像表現へと昇華した作品である。広大な砂漠や巨大建造物の描写は圧倒的な没入感を生み、視覚体験として高い完成度を誇る。
また、ハンス・ジマーによる音楽は電子音と民族的な響きを融合させ、舞台となる惑星アラキスの空気感を強く印象づける要素となっている。ティモシー・シャラメをはじめとするキャスト陣もそれぞれの役柄に適した存在感を発揮し、重厚な物語を支えている。
複雑な原作の前半部を丁寧に描きつつ、続編を見据えた構成である点も特徴であり、大作SFとしての完成度とシリーズ展開への期待を同時に感じさせる一本である。
内容(ネタバレ)
物語の始まりとアトレイデス家の移住
遥かな未来、宇宙帝国の支配下で、貴重な資源“スパイス”の唯一の産出地である砂の惑星アラキスの統治権が、ハルコンネン家からアトレイデス家へと移される。レト公爵はこれを名誉ある任務と受け止めるが、背後に罠が潜んでいることを察知していた。一方、息子ポールは未来の断片的なビジョンに悩まされ、自身の運命に不安を抱えている。
アラキス到着と不穏な兆し
アトレイデス家はアラキスへ移住し、現地の環境と政治状況の把握を進める。過酷な砂漠環境、巨大なサンドワームの脅威、そして先住民フレメンの存在が徐々に明らかになる。ポールは彼らの文化や生き方に触れながら、自身の中にある特別な資質の片鱗を見せ始める。同時に、ハルコンネン家が完全には撤退していないことも示唆され、緊張が高まっていく。
陰謀の発動と裏切り
やがてハルコンネン家は帝国の協力を得て奇襲を仕掛ける。内部には裏切り者が存在し、防衛は崩壊。アトレイデス家は壊滅的な打撃を受け、レト公爵も捕らえられる。ポールと母ジェシカは辛うじて脱出し、追手から逃れる中で砂漠へと追い込まれていく。ここからポールの運命は大きく動き出していく。
砂漠での逃避行と覚醒の兆し
ポールとジェシカは追手から逃れながら過酷な砂漠を進み、サンドワームの脅威に直面する。ジェシカは自身の能力で危機を乗り越え、ポールもまた極限状況の中で精神的・肉体的に成長していく。やがて彼はより鮮明な未来のビジョンを見るようになり、自身が大きな運命の中心にいることを自覚し始める。
フレメンとの接触と新たな道
砂漠をさまよう中で、ふたりは先住民フレメンの一団と遭遇する。当初は警戒されるものの、ポールとジェシカはその力を示し、次第に受け入れられていく。ポールは夢の中で見ていた女性チャニと実際に出会い、彼女との邂逅は彼の運命をさらに確かなものへと導く。
決闘と“ムアッディブ”としての一歩
フレメンの掟に従い、ポールは戦士ジャミスとの決闘を強いられる。命を奪うことへの葛藤を抱えながらも、ポールは勝利し、初めて人を殺める経験をする。この出来事を経て、彼はフレメン社会の一員として受け入れられ、「ムアッディブ」という新たな名を与えられる。
新たな戦いへの序章
物語は、ポールがフレメンとともに砂漠の民として生きる道を選ぶ場面で幕を閉じる。彼の前には、帝国やハルコンネン家とのさらなる対立、そして自身の見た未来へと続く壮大な戦いが待ち受けていることが示唆される。
作品トリビア
ハンス・ジマーは『TENET』を断って本作を選んだ
長年クリストファー・ノーラン作品を手がけてきたジマーだが、本作の原作『デューン 砂の惑星』に強い思い入れがあり、『TENET テネット』のオファーを辞退して本作の音楽制作に参加した。結果として独創的なサウンドスケープが高く評価された。
音楽制作は“楽器を新しく作る”ところから始まった
ジマーは従来のオーケストラに頼らず、本作のために独自の音色を開発。電子音と人の声、民族的な要素を融合させ、既存のSF音楽とは異なる“異世界の音”を構築している。
撮影は実際の砂漠ロケが中心
アラキスの表現にはCGだけでなく、ヨルダンやアラブ首長国連邦など実在の砂漠でのロケ撮影が多用されている。これにより、質感やスケールにリアリティが生まれている。
ヴィルヌーヴ監督は“2部作前提”で構想していた
原作のボリュームを考慮し、最初から前後編構成として企画されていた。本作はその前半部分にあたる。公開時点では続編は未確定だったが、後に正式に製作が決定した。
原作は“映像化困難”とされてきた作品
過去にも映画化(1984年版)やドラマ化はされているが、複雑な世界観や思想性から完全な映像化は難しいとされてきた。本作はその中でも原作への忠実度と映像表現の両立で高い評価を得た。
ライター/エディター/映画インスタグラマー。2019年に早稲田大学法学部を卒業。東京都職員として国際業務等を経験後、ライター業に転身。各種SNS(Instagram・X)やYouTubeチャンネル「cula 見て聞く映画マガジン(旧:アルテミシネマ)」においても映画や海外ドラマ、音楽といったカルチャーに関する情報レビューを発信している。
