ペドロ・パスカルがJ.K.ローリングへの批判発言について、自らの思いをVanity Fair誌で語った。
「いじめっ子が大嫌い」-自身の発言に込めた思い
『マンダロリアン』『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』などで知られる俳優ペドロ・パスカルが、SNSで作家J.K.ローリングを「卑劣な負け犬」と呼んだ件について、改めてその意図と葛藤を語った。
この発言のきっかけは、2025年4月に英国最高裁が「法的な“女性”の定義を生物学的性別に基づく」と判断した判決にあった。これはトランス女性を「女性」として法的に認めないというもので、J.K.ローリングが支援していた団体が関与した訴訟でもあった。
判決後、ローリングはSNSに「計画通りに事が運ぶのが好き」と投稿。さらに「本を読んでも燃やしても印税は変わらない。どうぞマシュマロを楽しんで」と、批判的な声に対して皮肉まじりに返した。この投稿はトランス当事者への配慮に欠けるものとして物議を醸し、SNS上で抗議が広がる。
そのような状況の中、活動家タリク・ラウフがローリングを厳しく批判し、ボイコットを呼びかける動画を公開。そのコメント欄で、ペドロ・パスカルは「まさに酷くて最低だ。卑劣な負け犬の振る舞いだ」と強い言葉で反応した。
Vanity Fair誌のカバーストーリーの中で、パスカルは「まるで問題児として校長室に呼び出されたときのような気分だった」と回顧。さらに「自分は役に立てているのか?本当に助けになっているのか?」と葛藤したことを明かし、「この問題には最大限の繊細さが求められる。実際に何かが変わり、人々が守られるようにするために」と語っている。
妹への思い-「存在しない」と言われたくない
パスカルの発言の背景には、家族への深い思いがある。彼の妹であるラックス・パスカルは、2021年にトランスジェンダーの女性として公にカミングアウト。以降、パスカルはたびたび妹への愛情とサポートの姿勢を明かしてきた。
Vanity Fair誌では、パスカルの姉であるハビエラ・パスカルも登場。彼のローリング批判について、「あれは本当に卑劣な振る舞いだと思うし、彼は兄として、妹の存在を否定されるような発言に対して声を上げた」と語った。
パスカル自身も、「愛する人たちを守りたい。でもそれだけじゃない。いじめっ子が大嫌いなんだ」と述べ、個人的な感情と社会的な姿勢の両面から発言を説明している。妹の存在を否定するような言説が繰り返される中で、パスカルの発言は単なる炎上ではなく、家族と向き合う者としての強い姿勢を示すものでもあった。
誤解と誹謗中傷に晒される中で
ローリング批判をめぐる騒動の中で、一部ではパスカルに対し、「女性に対して無遠慮だ」とする批判も起きた。きっかけとなったのは、2024年のサンディエゴ・コミコンでの出来事だ。マーベル映画『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』のパネルに登壇した際、共演者のヴァネッサ・カービーの手を取った様子が撮影され、その動画がSNSで拡散された。
この行為が、「女性の同意を得ずに身体に触れたのではないか」として、ローリング擁護派を中心に“証拠”として取り上げられた。しかしカービー本人は、Vanity Fair誌の取材において明確に反論している。
「私たちはあの日、何千人もの観客の前に立つことにとても緊張していたの。パスカルは“ふたりで一緒にやっていこう”っていう気持ちを伝えてくれたのだと思うし、私はその気遣いがとても素敵だと思った。実際、私は彼の手を握り返したよ」と語っている。
ロバート・ダウニー・Jrが支えだった
このように注目が集まる中、パスカルは主演作『ファンタスティック4』の公開が控えている。しかし本人は「自分のキャスティングに対する不満の声のほうが、これまで以上に聞こえてくる。“年を取りすぎ”“似合っていない”“髭を剃れ”などね」と率直な心境を明かした。
そんな中、支えとなったのがロバート・ダウニー・Jr.の存在だったという。「彼は本当に寛大で、すぐに心を開いてくれるから、こちらも“怖がっていい”“迷っていていい”と思える」と語った。
ダウニーは逆にパスカルについて「ゆっくりと時間をかけて成功した彼の歩みは、この業界への信頼を取り戻させてくれる存在だ」と称賛している。
SNSでの一言が思わぬ波紋を呼ぶ時代においても、ペドロ・パスカルの発言の奥には、家族への誠実さと深い共感性がにじんでいる。賛否が渦巻くなかでも、彼の姿勢は変わらず、声を上げることの意味を静かに問いかけている。



