『石門』場面写真解禁- 望まぬ妊娠に直面する女性の前に立ちはだかる「壁」をホアン・ジー監督が映し出す ! 金馬獎2冠作品
金馬獎最優秀作品賞を受賞した『石門』で描かれる、若き女性の選択と現代中国の社会問題とは。
ホアン・ジー監督と大塚竜治監督が手掛ける『石門』は、2025年2月28日(金)から全国で順次公開される。”中華圏のアカデミー賞”と称される第60回金馬獎で日本資本の映画として初めて《最優秀作品賞》を獲得し、《最優秀編集賞》と合わせて2冠に輝いた本作。米批評サイト”ロッテントマト”では批評家から94%、一般観客からは100%の支持を集めている(2025年1月14日時点)。
このたび解禁された場面写真は、20歳の主人公リン(ヤオ・ホングイ)が望まぬ妊娠を恋人に告げた直後の様子を捉えたものである。航空会社への就職を控えたリンに対し、恋人は「タイミングが悪い」と中絶を暗に促す。その言葉に沈む彼女の背中には、現代の中国社会に生きる女性たちが直面する「壁」が象徴的に映し出されている。
娘からの問いかけから生まれた物語
本作は、ホアン・ジー監督が5歳の娘から「どうして私を生んだの?」と問われたことがきっかけとなっている。その問いへの答えを探るように、監督は若い女性の妊娠と選択の物語を紡ぎ出した。「少女から大人になりかけている女の子が、出産を悩む姿を撮ることで、その答えを導こうと考えた」と、撮影の意図を語っている。
夫婦であるホアン・ジー監督と大塚竜治監督は、表現統制の厳しい中国において、一貫して女性の視点や経験を重視してきた映画作家である。『卵と石』(2012年)で少女への性的被害を描いてデビューを飾り、『フーリッシュ・バード』(2017年)では女子高校生の性の搾取を題材に据えた。

『石門』©YGP-FILM
「石門」に込められた現代中国の社会構造
タイトルの「石門」は、女性たちの前に立ちはだかる重く冷たい「壁」の象徴である。主人公のリンは、突然の妊娠判明後、恋人からの協力も得られず、ひとりで巨大な壁と向き合うことを余儀なくされる。さらに、診療所を営む母親が死産の責任を追及され、高額な賠償金を支払わなければならない状況に追い込まれている。
現代の中国では、優秀な遺伝子を求める富裕層向けの代理出産が、闇ビジネスとして広がりを見せている。リンは賠償金の支払いに苦しむ両親を助けるため、自身の胎児を富裕層に提供することを検討し始める。「彼女のお腹の赤ちゃんも石の門を突き破ってこの世界に出てくることができるのか」とホアン・ジー監督は問いかける。それは同時に、現代中国における女性の自己決定権と社会的圧力の関係性を浮き彫りにする問いでもある。
ベネチア国際映画祭ベニス・デイズ部門でのノミネートをはじめ、トロント、香港、BFIロンドン、ニューヨークなど、世界の主要映画祭で高い評価を受け、計8つの賞を獲得。世界各地の映画祭で11のノミネートを果たすなど、その芸術性と社会性は国際的に認められている。

『石門』©YGP-FILM
中華圏映画の新たな扉を開いた快挙
2023年11月に開催された第60回金馬獎において、『石門』は日本資本の映画として初めて《最優秀作品賞》を受賞した。アン・リー監督が審査委員長を務めた同賞は、『グリーン・デスティニー』(2000年)や『ラスト・コーション』(07年)など、アジアを代表する名作を輩出してきた。歴代受賞作品には、エドワード・ヤン監督の『牯嶺街少年殺人事件』(91年)やチェン・ユーシュン監督の『1秒先の彼女』(20年)など、中華圏映画の金字塔が名を連ねている。
その系譜に連なる『石門』は、普遍的なテーマを静謐なタッチで描き出すことで、現代アジア映画の新たな地平を切り開いている。監督賞の歴代受賞者にはホウ・シャオシェン監督、ウォン・カーウァイ監督、チャン・イーモウ監督など、巨匠たちが並ぶ中、本作は編集賞との2冠という快挙を成し遂げた。
映画祭で高まる評価、世界が注目する社会派ドラマ
国際映画祭での評価も際立っている。香港国際映画祭では火の鳥賞、最優秀女優賞、国際批評家連盟賞を受賞。全州国際映画祭でNETPAC賞、バンコク世界映画祭で最優秀脚本賞を獲得するなど、アジア各地で高い評価を得ている。主演のヤオ・ホングイの繊細な演技は、現代を生きる若い女性の苦悩と決意を説得力をもって描き出している。
さらに、リウ・ロン、シャオ・ズーロン、ホアン・シャオション、リウ・ガンら実力派キャストの演技も相まって、個人の選択と社会の圧力が交錯する重層的な人間ドラマを形作っている。2時間28分という上映時間の中で、監督たちは中国社会の深層に潜む問題を丹念に掘り下げることに成功している。
『石門』は2月28日(金)より新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座、シネ・リーブル池袋ほか全国順次公開
作品情報
<STORY>
2019年、中国湖南省の長沙市。単発の仕事で日々お金を稼ぎながら、フライトアテンダントになるための勉強をしている20歳のリン。郊外で診療所を営んでいる両親は、死産の責任を求めて賠償金を迫られていた。ある日リンは、自分が妊娠一ヶ月であることを知る。子供を持つことも中絶することも望まなかったリンは、両親を助けるため賠償金の代わりにこの子供を提供することを思いつくのだが…。
タイトル:『石門』
原題:石門
監督:ホアン・ジー、大塚竜治
出演:ヤオ・ホングイ、リウ・ロン、シャオ・ズーロン、ホアン・シャオション、リウ・ガン
日本公開:2025年2月28日(金)
2022年|日本|中国語|2時間28分|DCP
©YGP-FILM
配給:ラビットハウス
公式サイト:https://stonewalling.jp/
X:https://x.com/usaginoie_film
