映画『ツイスターズ』(2024)を紹介&解説。
映画『ツイスターズ』概要
映画『ツイスターズ』は、1996年の大ヒット映画『ツイスター』から約28年を経て製作された、単独でも楽しめる続編。リー・アイザック・チョン監督(『ミナリ』)が、巨大竜巻を追うストームチェイサーたちの戦いと再生を描くディザスター・アクションだ。主演はデイジー・エドガー=ジョーンズ、共演にグレン・パウエル、アンソニー・ラモスら。製作総指揮をスティーヴン・スピルバーグ、原案を『トップガン マーヴェリック』監督のジョセフ・コシンスキーが務めた。
作品情報
| 日本版タイトル | 『ツイスターズ』 |
|---|---|
| 原題 | Twisters |
| 製作年 | 2024年 |
| 本国公開日 | 2024年7月19日 |
| 日本公開日 | 2024年8月1日 |
| ジャンル | ディザスター/アクション/アドベンチャー |
| 製作国 | アメリカ |
| 原案 | ジョセフ・コシンスキー |
| キャラクター創造 | マイケル・クライトン/アン=マリー・マーティン |
| 上映時間 | 122分 |
| 映倫区分 | G |
| 監督 | リー・アイザック・チョン |
|---|---|
| 脚本 | マーク・L・スミス |
| 原案 | ジョセフ・コシンスキー |
| 製作 | フランク・マーシャル/パトリック・クローリー |
| 製作総指揮 | スティーヴン・スピルバーグ/トーマス・ヘイスリップ/アシュリー・ジェイ・サンドバーグ |
| 撮影 | ダン・ミンデル |
| 美術 | パトリック・サリヴァン |
| 衣装 | ユーニス・ジェラ・リー |
| 編集 | テリリン・A・シュロプシャー |
| 作曲 | ベンジャミン・ウォルフィッシュ |
| 出演 | デイジー・エドガー=ジョーンズ/グレン・パウエル/アンソニー・ラモス/ブランドン・ペレア/モーラ・ティアニー/サッシャ・レイン/ハリー・ハッデン=パットン/デヴィッド・コレンスウェット/キーナン・シプカ/ダリル・マコーマック |
| 製作 | ユニバーサル・ピクチャーズ/ワーナー・ブラザース・ピクチャーズ/アンブリン・エンターテインメント/ザ・ケネディ/マーシャル・カンパニー |
| 配給 | ユニバーサル・ピクチャーズ(北米)/ワーナー・ブラザース・ピクチャーズ(米国外) |
あらすじ
大学時代、竜巻を弱める実験中に仲間を失ったケイト・カーターは、ストームチェイサーを辞め、ニューヨークで気象データを分析していた。事故から5年後、生き残った友人ハビに誘われ、新型レーダーの実地試験に協力するため故郷オクラホマへ戻る。そこで彼女は、派手な動画で人気を集める“竜巻カウボーイ”のタイラーと出会う。異なる方法と信念を持つ者たちが衝突する中、複数の巨大竜巻が町と住民に迫っていく。
主な登場人物(キャスト)
ケイト・カーター(デイジー・エドガー=ジョーンズ):竜巻の動きを直感的に読み取る才能を持つ気象学者。大学時代の実験で仲間を失ったことが深いトラウマとなり、竜巻の現場から離れている。
タイラー・オーウェンズ(グレン・パウエル):“竜巻カウボーイ”を名乗る人気ストームチェイサー兼動画配信者。大胆不敵な振る舞いで注目を集める一方、災害に苦しむ人々を助ける強い信念も秘めている。
ハビ(アンソニー・ラモス):ケイトの大学時代からの友人で、過去の竜巻事故を生き延びたひとり。軍で扱ったレーダー技術を応用し、竜巻を立体的に解析する新たな事業を立ち上げる。
ブーン(ブランドン・ペレア):タイラーの相棒であるカメラマン。危険な竜巻追跡にも興奮しながら飛び込んでいく、陽気でエネルギッシュなチームの盛り上げ役。
リリー(サッシャ・レイン):ドローン操作を担当するタイラーの仲間。個性的なメンバーが集う“トルネード・ラングラーズ”を技術面から支える。
スコット(デヴィッド・コレンスウェット):ハビのチームに所属するビジネスパートナー。データと効率を優先する冷静な人物で、被災地に対する姿勢をめぐりケイトと対立する。
キャシー(モーラ・ティアニー):オクラホマの農場で暮らすケイトの母親。過去に傷ついた娘を静かに見守り、彼女が再び竜巻と向き合うための支えとなる。
作品の魅力解説
冒頭から全身で体感させる“人間 VS 竜巻”
本作は冒頭から、主人公ケイトの人生を決定づける象徴的な出来事を圧倒的な迫力で描く。若者たちの希望に満ちた実験は、予測を超えて成長する竜巻によって一変。ケイトの才能、過信、喪失、罪悪感を短いシークエンスに凝縮しながら、“人間 VS 強力な竜巻”という映画全体のコンセプトを観客に全身で体感させる導入となっている。
それぞれ異なる恐怖を持つ巨大竜巻
自動車を軽々と吹き飛ばし、建物から壁や屋根を引き剥がす竜巻の威力は、大画面と立体的な音響を前提とした迫力を備えている。単に巨大な竜巻を繰り返し登場させるのではなく、視界の利かない闇の中で迫るもの、火を巻き込むもの、広範囲の町をのみ込むものなど、各場面に異なる状況と性格が与えられている点も巧みだ。
撮影には巨大な送風機やジェットエンジン、放水装置などの物理的な特殊効果も使用されており、CGだけでは生まれにくい風圧や水、飛来物の実感が映像に加わった。観客も登場人物と同じ場所に立っているかのような没入感が、王道ディザスター映画としての魅力を押し上げている。
心・技・体を総動員して立ち向かう三人
モンスターのような竜巻を克服するためには、精神力、知力、行動力のどれが欠けてもならない。トラウマに立ち向かうケイト、無謀な目立ちたがり屋に見えて実は多くを背負っているタイラー、友情とビジネスの間で揺らぐハビ。三人がそれぞれの経験と能力を持ち寄り、竜巻に挑もうとする過程が物語の中心を形作る。
竜巻を弱めるという大胆な科学的アイデアを軸にしながら、最終的に問われるのは、知識や技術を何のために使うのかという姿勢だ。自然を支配する英雄物語ではなく、過去の失敗を受け止め、目の前の命を守るために再び行動する人々の再生劇として描かれている。
注目俳優たちが作り上げるヒューマンドラマ
デイジー・エドガー=ジョーンズは、喪失に沈みながらも竜巻への情熱を捨てきれないケイトの繊細な揺らぎを表現。グレン・パウエルはスター性に満ちた登場から、その軽薄さの奥にある知識と誠実さを少しずつ見せていく。アンソニー・ラモスも、親友を救いたい思いと自身の選択への迷いを抱えるハビを、人間味豊かに演じている。
さらに、ブランドン・ペレア、サッシャ・レイン、デヴィッド・コレンスウェット、キーナン・シプカ、ダリル・マコーマックら、現在の映画界で存在感を高める俳優たちが脇を固める。個々のキャラクターが竜巻に対する異なる考え方を体現し、単なる災害スペクタクルにとどまらない群像劇を成立させた。
動画配信者への先入観を反転させる構成
タイラーたちのチームは、竜巻の危険地帯へ飛び込み、その映像や派手なパフォーマンスで再生数を稼ぐ動画配信者として登場する。一見すると、災害を娯楽や商売に利用する無責任な集団に映る。しかし物語が進むにつれ、彼らが収益や知名度を被災者支援へつなげ、現場の住民を助けようとしていることが明らかになる。
反対に、最新技術と企業の看板を掲げたハビのチームにも、被災地を利益へ変える構造が潜んでいる。外見や肩書だけで他者を判断する危うさを示しながら、「撮影する者は何のためにカメラを向けるのか」という現代的な問いを組み込んだ点も、本作をまっすぐな感動作へと導いている。
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ライター/エディター/映画インスタグラマー。2019年に早稲田大学法学部を卒業。東京都職員として国際業務等を経験後、ライター業に転身。各種SNS(Instagram・X)やYouTubeチャンネル「cula 見て聞く映画マガジン(旧:アルテミシネマ)」においても映画や海外ドラマ、音楽といったカルチャーに関する情報レビューを発信している。
