3D向けの豪快さ——『バイオハザードIV アフターライフ』解説|どんな映画?あらすじ・キャスト・魅力・レビュー・ネタバレまとめ

『バイオハザードIV アフターライフ』解説|どんな映画?あらすじ・キャスト・魅力・レビュー・ネタバレまとめ Database - Films
『バイオハザードIV アフターライフ』より

映画『バイオハザードIV アフターライフ』(2010)を紹介&解説。


映画『バイオハザードIV アフターライフ』概要

映画『バイオハザードIV アフターライフ』は、ポール・W・S・アンダーソン監督が、カプコンのサバイバルホラーゲーム『バイオハザード』シリーズを原作に、T-ウイルスによって崩壊した世界で生存者を探すアリスとアンブレラ社の戦いを描くSFアクションホラー。

実写映画『バイオハザード』シリーズ第4作で、シリーズ初のフル3D作品。生存者の安息地“アルカディア”を求めるアリスが、記憶を失ったクレアと再会し、アンデッドに埋め尽くされたロサンゼルスへ向かう。

主演はミラ・ジョヴォヴィッチ、共演にアリ・ラーター、ウェントワース・ミラー、ショーン・ロバーツ、ボリス・コジョーら。

作品情報

日本版タイトル 『バイオハザードIV アフターライフ』
原題 Resident Evil: Afterlife
製作年 2010年
本国公開日 2010年9月10日
日本公開日 2010年9月10日(9月4日・5日先行公開)
ジャンル アクション/ホラー/SF
製作国 アメリカ/ドイツ/カナダ
原作 カプコン『バイオハザード』シリーズ(ゲーム)
上映時間 97分
監督・脚本 ポール・W・S・アンダーソン
製作 ポール・W・S・アンダーソン/ジェレミー・ボルト/ドン・カーモディ/ベルント・アイヒンガー/サミュエル・ハディダ/ロバート・クルツァー
製作総指揮 マーティン・モスコウィック/ヴィクター・ハディダ
撮影 グレン・マクファーソン
編集 ニーヴン・ハウィー
作曲 トムアンドアンディ
出演 ミラ・ジョヴォヴィッチ/アリ・ラーター/キム・コーツ/ショーン・ロバーツ/セルヒオ・ペリス=メンチェータ/スペンサー・ロック/ボリス・コジョー/ウェントワース・ミラー/シエンナ・ギロリー/ケイシー・バーンフィールド/ノーマン・ヤン/フルヴィオ・セセラ/レイ・オルボワーレ/中島美嘉
製作 コンスタンティン・フィルム・インターナショナル/デイヴィス・フィルム/インパクト・ピクチャーズ
配給 スクリーン・ジェムズ(米国)/ソニー・ピクチャーズ(日本)

あらすじ

T-ウイルスによって世界が崩壊する中、アリスは大量のクローンとともに東京のアンブレラ地下施設を襲撃する。しかしアルバート・ウェスカーとの戦いでT-ウイルス由来の超人的能力を失い、生身の人間へと戻る。

半年後、生存者の安息地とされる“アルカディア”を求めてアラスカへ向かったアリスは、記憶を失ったクレア・レッドフィールドと再会。ふたりは手掛かりを追ってロサンゼルスへ向かい、無数のアンデッドに包囲された刑務所で生き残る人々と出会う。やがて刑務所内部にもアンデッドが侵入し始め、一行はアルカディアを目指して決死の脱出を試みる。

主な登場人物(キャスト)

アリス(ミラ・ジョヴォヴィッチ):T-ウイルス災害を生き延び、アンブレラ社と戦い続ける主人公。本作ではウェスカーによってT-ウイルス由来の超人的能力を失い、生身の人間へ戻る。クレアらとともに生存者の安息地“アルカディア”を目指す。

クレア・レッドフィールド(アリ・ラーター):前作で生存者集団を率いていた女性。アンブレラの制御装置を装着され、記憶を失った状態でアリスと再会する。高い戦闘能力と生存本能を持ち、記憶を取り戻しながらアリスと行動を共にする。

クリス・レッドフィールド(ウェントワース・ミラー):クレアの兄で、軍の部隊に所属していた兵士。感染拡大時の混乱で囚人と間違われ、ロサンゼルスの刑務所の独房に閉じ込められている。刑務所内部や脱出手段についての情報を持つ。

ルーサー・ウェスト(ボリス・コジョー):感染拡大以前はプロのバスケットボール選手だった男性。ロサンゼルスの刑務所に立てこもる生存者たちのリーダー格で、冷静な判断力と高い身体能力を持つ。アリスらを受け入れ、ともに脱出を目指す。

ベネット・シンクレア(キム・コーツ):感染拡大以前はハリウッドで活動していた映画プロデューサー。刑務所で生き延びているものの、仲間よりも自分自身の生存を優先する自己中心的な人物。極限状態の中で次第に本性を露わにしていく。

アルバート・ウェスカー(ショーン・ロバーツ):アンブレラ社を率いる冷酷な最高幹部で、アリスの宿敵。T-ウイルスによって超人的な身体能力と再生能力を得ている一方、ウイルスを完全には制御できていない。アリスからT-ウイルス由来の能力を奪い、終盤では再び彼女たちの前に立ちはだかる。

キム・ヨン(ノーマン・ヤン):ロサンゼルスの刑務所で暮らす生存者。感染拡大以前はベネットのインターンで、世界崩壊後も彼に頭が上がらない。戦闘経験のある人物たちに比べると臆病で、一般人に近い立場から極限状況を生き延びている。

クリスタル・ウォーターズ(ケイシー・バーンフィールド):女優になる夢を追ってロサンゼルスへ移住した女性。感染拡大後は刑務所の生存者グループに加わり、料理などを担当する。水泳が得意で、その能力を生かしてアリスたちの武器確保に協力する。

エンジェル・オーティス(セルヒオ・ペリス=メンチェータ):刑務所で暮らす生存者の1人。機械に詳しく、グループでは設備や車両などの技術作業を担当する。刑務所から脱出するため、残されていた装甲車の修理を試みる。

ウェンデル(フルヴィオ・セセラ):刑務所で暮らす生存者の1人で、独房に収容されているクリスの監視を担当。刑務所内部の壁から聞こえる異変に気づき、アンデッドが内部へ侵入し始めていることをいち早く察知する。

Kマート(スペンサー・ロック):前作でクレア率いる生存者集団に加わっていた若い女性。感染拡大後、Kmartの廃墟で発見されたことから“Kマート”と名乗る。クレアたちとアルカディアを目指した後、アンブレラに捕らえられていたことが判明する。

ジル・バレンタイン(シエンナ・ギロリー):元S.T.A.R.S.隊員で、かつてラクーンシティでアリスと共闘した女性。本作ではエンドクレジット途中に再登場し、胸に制御装置をつけた状態でアンブレラの攻撃部隊を指揮する。なぜ敵側にいるのかは本作では明かされない。

東京の第一感染者(中島美嘉):映画冒頭の東京・渋谷に登場する女性。雨の中に立ち尽くした後、アンデッドとして通行人を襲う。日本における感染拡大を象徴する存在として描かれる。

登場するクリーチャー

アンデッド(Undead/Zombie):T-ウイルスに感染した人間たち。ロサンゼルスの刑務所周辺を大量に取り囲み、生存者たちを追い詰める。本作でもシリーズを象徴する基本的な敵として登場する。

マジニ・アンデッド(Majini Undead):通常のアンデッドとは異なり、口が花弁のように大きく裂ける変異型。地中を掘って刑務所内へ侵入するほか、水中でも活動する。ウェンデルやクリスタルを襲い、安全だと思われていた刑務所を内部から崩壊させていく。

処刑マジニ(Axeman):巨大な斧を持つ巨体のクリーチャー。ゲーム『バイオハザード5』の「処刑マジニ(Executioner Majini)」をモデルにしているが、映画版の英語クレジットでは「Axeman」(アックスマン)と表記される。圧倒的な怪力で刑務所の門を破壊し、生存者たちを追跡。クレアやアリスとの戦闘では、ホラー的な不気味さと豪快なアクションの両方を担う本作屈指の強敵となる。

ゾンビ犬/アンデッド・ドッグ(Undead Dogs):アルバート・ウェスカーのもとにいる2匹の感染した犬。戦闘時には頭部が大きく裂け、内部から触手状の器官を露出させてアリスたちに襲いかかる。デザインや挙動はゲーム『バイオハザード5』に登場する「アジュレ(Adjule)」を強く意識しているが、映画版で正式に「アジュレ」という名称は使用されていないようだ。

作品の魅力解説・レビュー

3Dを前提に組み立てられた、奥行き重視のアクション映像

『バイオハザードIV アフターライフ』の最大の特徴は、当時急速に普及しつつあった3D映画というフォーマットを真正面から見据えた映像設計にある。本作は『アバター』でも使用されたFusion 3-Dカメラシステムを採用しており、撮影後に立体映像へ変換するのではなく、撮影の段階から3D上映を前提として構図やセット、人物の動きが組み立てられている。

画面の手前と奥を大胆に使い分けた構図、観客に向かって飛来する物体、四方に飛び散る破片など、立体上映で映えることを強く意識した演出は随所に見られる。雨の渋谷で無数の傘が行き交う冒頭のシーンからして、画面そのものを見せ場に仕立てようとする作り手の意図がうかがえるだろう。

こうした派手な映像は、観る者に素直に「かっこいい」と思わせるだけの力を備えている。その一方で、CGやスローモーションを強調した演出は、それが“作られた映像”であることを強く意識させ、没入感を削ぐ一面も併せ持つ。迫力と人工的な質感が表裏一体となっている点も、本作を語るうえで欠かせない要素だといえよう。

生身の戦いが帰ってきた

前作では、テレキネシスの能力によってアリスがあまりにも強大な存在になってしまっていた。主人公が圧倒的な力で敵をねじ伏せてしまえば、観客はその戦いに緊張感を抱きようがない。そうした反省もあってか、本作ではアリスの超常的な力が物語の序盤で早々に失われ、彼女は再び生身の人間として銃と格闘を武器に戦うことになる。

この判断は正解だろう。身体ひとつで敵に立ち向かう姿のほうが、演じるミラ・ジョヴォヴィッチの持ち味にもよく似合い、アクションヒロインとしての格好よさも際立つ。アリスの戦闘シーンでは、華麗な飛び蹴りはもちろんのこと、ショットガンにコインを込めて撃ち放つ場面なども強く印象に残る見どころとなっている。

ゲーム色を強めたビジュアルと、処刑マジニの存在感

本作は、シリーズの中でもゲーム的なビジュアルとアクションがとりわけ前面に押し出された一作である。

なかでも強烈な存在感を放つのが、巨大な斧を携えた処刑マジニだ。巨体がじりじりと迫ってくる不気味さと、壁や床を次々に破壊していく豪快なアクションを、このキャラクターは同時に成立させている。

アクションに比重を置いたことで、本作は従来以上にホラー色が薄まっているものの、処刑マジニが姿を現す刑務所のパートには、怪物に追い詰められていく恐怖がしっかりと残されている。クレアやアリスとの戦闘も含め、ホラーの緊張感と派手なアクションの両方を一身に担う、実に魅力的なキャラクターといえるだろう。

ウェスカーの超人的な身のこなしなども含め、リアリティよりも「ゲームの画面を実写でかっこよく見せる」方向へ思い切って舵を切っている点は、本作ならではの個性として評価したい。

スローモーションの多用と、薄くなった物語・ホラー要素

その一方で、アクションを格好よく見せることへの意識が強すぎるあまり、スローモーションが多用されている点は気になるところだ。敵を倒す瞬間や銃撃、飛び道具の軌道などを繰り返しゆっくりと見せるため、一つひとつの画は派手であっても、観ているうちにその演出自体に慣れてしまい、本来の効果が薄れていく。

物語もまた、“アルカディア”を目指して移動し、そこで新たな危機に直面するという比較的シンプルな構造にとどまっており、人物ドラマやストーリーそのものの厚みはかなり乏しい。

シリーズ初期に見られた閉鎖空間ホラーとしての緊張感よりも、大規模なアクション映画としての方向性がはっきりと打ち出されているだけに、この点は観る者によって評価が大きく分かれるだろう。

簡易ストーリー解説(ネタバレ)

起|超能力を失ったアリスと、記憶を失ったクレア

アリスは大量のクローンとともに東京のアンブレラ地下施設を襲撃するが、クローンたちは施設の爆発に巻き込まれて全滅する。逃走したアルバート・ウェスカーを追った本物のアリスも、抗ウイルス剤を注射され、T-ウイルスによる超人的能力を失ってしまう。

半年後、生存者の楽園とされる「アルカディア」を求めてアラスカへ向かったアリスは、アンブレラの装置によって操られていたクレア・レッドフィールドを発見。装置を外して正気に戻すが、クレアは記憶を失っていた。

承①|刑務所の生存者たちとクリスとの再会

アリスとクレアはロサンゼルスへ向かい、アンデッドに包囲された刑務所でルーサー、ベネット、キム・ヨン、クリスタル、エンジェルら生存者と合流する。

そこには危険人物として拘束されていたクリス・レッドフィールドもいた。実際には軍人であり、クレアの兄だったが、記憶を失っているクレアは彼を覚えていない。

やがてアンデッドが地下から刑務所内へ侵入し、ウェンデルが襲われて死亡。安全だったはずの刑務所は崩壊し始める。

承②|仲間の裏切りと、次々に失われる生存者

クリスは装甲車による脱出を提案するが、すぐには使用できないことが判明する。追い詰められたベネットは仲間を裏切り、エンジェルを銃殺。アリスの小型機を奪って1人でアルカディアへ逃亡する。

武器を確保しに向かったクリスタルも感染者に水中へ引きずり込まれて死亡。さらに巨大な斧を持つ処刑マジニが刑務所へ侵入し、キム・ヨンはその斧で胴体を真っ二つにされる。

アリスとクレアは処刑マジニを撃破し、残った者たちはアンデッドが掘った地下通路から脱出。しかしルーサーは途中でアンデッドに地下へ引きずり込まれ、生死不明となる。

転|アルカディアは生存者を集める罠だった

生き残ったアリス、クレア、クリスは沖合に浮かぶ巨大船アルカディアへ到着する。しかしそこは安全な避難所ではなく、生存者を誘い出して実験体として捕獲するためのアンブレラの施設だった。

クレアは記憶を取り戻し、3人は拘束されていた生存者たちを解放。その中にはKマートもいた。

船の奥では、生き延びていたウェスカーが待ち構えていた。T-ウイルスによって強大な力を得た一方でウイルスを制御できなくなっており、適合者であるアリスを取り込もうとしていた。さらに、仲間を裏切ったベネットもウェスカー側についていた。

結|ウェスカーとの決着と、ジルの帰還

アリス、クリス、クレアはウェスカーと激突する。クリスとクレアは圧倒されるが、Kマートの援護もありアリスたちは反撃。ウェスカーを倒し、ベネットをその場に閉じ込める。

しかしウェスカーは再生し、ベネットを食い殺して航空機で脱出。アルカディアごと爆破しようとするが、アリスは爆弾をあらかじめウェスカーの航空機へ移しており、機体は爆発する。ただしウェスカーは直前に脱出して生存する。

死んだと思われていたルーサーも地下から脱出していたことが判明。アリスたちはアルカディアを本物の避難所として生存者を受け入れようとする。

ところが最後にアンブレラの大部隊が襲来。その指揮官は、かつてアリスと共闘したジル・バレンタインだった。クレアと同じ洗脳装置を装着したジルが敵として現れ、物語は次作へ続く。

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