映画『デス・バイ・メタル~デス・メタルを作った男~』(2016)を紹介&解説。
映画『デス・バイ・メタル~デス・メタルを作った男~』概要
映画『デス・バイ・メタル~デス・メタルを作った男~』は、伝説的バンドDEATHを率い、「デス・メタルの父」と呼ばれるミュージシャン、チャック・シュルディナーの生涯と音楽人生を追うカナダ製作の音楽ドキュメンタリー。
フェリペ・ベラルカサルが監督・脚本・製作・撮影・編集を務め、チャック本人のアーカイブ映像に加え、DEATHの歴代メンバーや家族、関係者へのインタビューから、ジャンルの誕生とバンドの進化、その中心にいたチャックの妥協を許さない人物像へ迫る。
出演はチャック・シュルディナー、スティーヴ・ディジョルジオ、ジーン・ホグラン、リック・ロズ、ジェーン・シュルディナー、ベサン・シュルディナーら。2016年に製作され、チャック没後25年となる2026年に日本劇場公開される。
作品情報
| 日本版タイトル | 『デス・バイ・メタル~デス・メタルを作った男~』 |
|---|---|
| 原題 | Death by Metal |
| 製作年 | 2016年 |
| 本国公開日 | 2016年8月4日 |
| 日本公開日 | 2026年9月25日 |
| ジャンル | ドキュメンタリー/音楽/伝記 |
| 製作国 | カナダ |
| 原作 | 無 |
| 上映時間 | 107分 |
| 監督・脚本・撮影・編集 | フェリペ・ベラルカサル |
|---|---|
| 製作 | エリック・グリーフ/フェリペ・ベラルカサル |
| 出演 | チャック・シュルディナー/スティーヴ・ディジョルジオ/ジーン・ホグラン/リック・ロズ/ジェーン・シュルディナー/ベサン・シュルディナー ほか |
| 製作 | Mental Pictures |
| 配給 | キングレコード(日本) |
あらすじ
1983年、フロリダ。チャック・シュルディナーは、後にDEATHへと発展するバンドを結成する。
高速で攻撃的な演奏とデス・ボイスを特徴とするその音楽は、既存のヘヴィ・メタルをさらに過激な方向へ押し進め、やがて「デス・メタル」と呼ばれるジャンル形成に大きな影響を与えていくが、DEATHの中心にいたチャックは極端なまでの完璧主義者でもあった。自身が求める音楽を実現するため、メンバー交代を繰り返し、時には周囲との激しい摩擦を生みながらバンドを進化させていく。
映画は歴代メンバーや家族、関係者の証言とアーカイブ映像を通して、天才的なミュージシャンである一方、繊細さや頑固さ、激しいエゴも抱えていたチャックの複雑な人物像へ迫る。そしてDEATHの音楽が変化を続ける中、チャック自身にも避けることのできない運命が迫っていく。
主な登場人物(キャスト)
チャック・シュルディナー:DEATHの中心人物。ギタリスト、ヴォーカリスト、ソングライターとして活動し、デス・メタルというジャンルの形成に決定的な影響を与えた。本作ではアーカイブ映像を通して登場する。
スティーヴ・ディジョルジオ:DEATHに参加したベーシスト。チャックと制作現場をともにした人物として、その音楽性や人間性について証言する。
ジーン・ホグラン:DEATHのドラマーとして活動したミュージシャン。後のエクストリーム・メタル界にも大きな影響を与えた人物。
リック・ロズ:DEATHの初期にギタリストとして参加したメンバー。バンド黎明期を知る証言者として登場する。
ジェーン・シュルディナー:チャックの母。ミュージシャンとしてではない、家族から見たチャックについて語る。
ベサン・シュルディナー:チャックの姉。家族の立場からチャックの人生を振り返る。
作品の魅力解説
「デス・メタルの父」は、どうやってジャンルを作ったのか
現在では世界中に無数のバンドが存在するデス・メタル。本作は完成されたジャンルを後から解説するのではなく、そのスタイルがまだ明確な名前すら持たなかった時代から、DEATHとチャック・シュルディナーが音楽を変化させていく過程を追う。
スラッシュ・メタルからさらに速度、攻撃性、極端さを押し進めた音楽が、どのように一つのジャンルとして確立されていったのか。メタル史そのものを当事者の証言からたどれる作品となっている。
天才か、それともエゴイストか
映画はチャックを無条件に神格化する伝記ではない。音楽への妥協を許さない姿勢は革新的な作品を生んだ一方、メンバーへ極度の緊張を強い、頻繁なメンバーチェンジや人間関係の崩壊にもつながった。
歴代メンバーの証言から浮かび上がるのは、単純に「素晴らしい人だった」とまとめることのできない人物像。圧倒的な才能と、それを実現するためなら周囲との衝突も恐れない性格を同時に見せることで、「偉大な作品を生むこと」と「周囲と生きること」の間に存在する矛盾まで描いている。
本人だけでなく、歴代メンバーと家族の証言で人生を組み立てる
チャックは2001年に34歳で亡くなっているため、本作では本人のアーカイブ映像とともに、DEATHで活動したミュージシャンや家族の証言が重要な役割を担う。音楽面を知るメンバー、私生活を知る家族、それぞれの視点を重ねることで、「デス・メタルの父」という巨大な肩書の裏側にいた一人の人間を立体的に描いている。
音楽ファンにとっては歴史的資料であると同時に、一つの才能がどのように生き、周囲へ何を残したのかを考える人物ドキュメンタリーとしても楽しめる。
