ロックの殿堂 2026、17組のノミネート発表。
ロックの殿堂が2026年度クラスのノミネート17組を発表した。今回の顔ぶれは、これまでで最もジャンルの幅が広い候補者リストのひとつとなっている。シャキーラ、ローリン・ヒル、ピンク、故ジェフ・バックリー、フィル・コリンズ、ウータン・クランらが名を連ね、ロックという枠組みの拡張を改めて印象づけるラインナップとなった。2026年の選出結果に向け、例年以上に議論を呼びそうだ。
ロックの殿堂2026ノミネート17組―初選出10組と再挑戦7組
ロックの殿堂2026年度のノミネートは以下の17組。
ザ・ブラック・クロウズ(The Black Crowes)
ジェフ・バックリー(Jeff Buckley)
マライア・キャリー(Mariah Carey)
フィル・コリンズ(Phil Collins)
メリッサ・エスリッジ(Melissa Etheridge)
ローリン・ヒル(Lauryn Hill)
ビリー・アイドル(Billy Idol)
インエクセス(INXS)
アイアン・メイデン(Iron Maiden)
ジョイ・ディヴィジョン/ニュー・オーダー(Joy Division/New Order)
ニュー・エディション(New Edition)
オアシス(Oasis)
ピンク(Pink)
シャーデー(Sade)
シャキーラ(Shakira)
ルーサー・ヴァンドロス(Luther Vandross)
ウータン・クラン(Wu-Tang Clan)
このうち初めて投票用紙に名前が載る10組は、ジェフ・バックリー、フィル・コリンズ、メリッサ・エスリッジ、ローリン・ヒル、INXS、ニュー・エディション、ピンク、シャキーラ、ルーサー・ヴァンドロス、ウータン・クラン。
一方、過去に選出を逃し、今回再びノミネートされた7組は、ザ・ブラック・クロウズ、マライア・キャリー、ビリー・アイドル、アイアン・メイデン、ジョイ・ディヴィジョン/ニュー・オーダー、オアシス、シャーデーだ。
今年のノミネート数は17組であり、2025年度の14組より3組多い。再ノミネート組のうち5組――ザ・ブラック・クロウズ、マライア・キャリー、ビリー・アイドル、ジョイ・ディヴィジョン/ニュー・オーダー、オアシス――は昨年も候補に挙がっており、即座の返り咲きとなる。オアシスのボーカリスト、リアム・ギャラガーは以前2度ノミネートされた際にロックの殿堂を否定していたが、ノミネート委員会は今年もその反抗的な態度をとがめることはなかったようだ。
ジャンルの幅が示す現在地―“ロック”の定義は拡張するか
ロックの殿堂2026のノミネートを俯瞰すると、最大の特徴はそのジャンル横断性にある。今回の顔ぶれは「これまでで最もジャンルの幅が広い候補者リストのひとつ」となっている。
17組のうち、いわゆる「ロック」と見なされるのは、ザ・ブラック・クロウズ、故ジェフ・バックリー、メリッサ・エスリッジ、ビリー・アイドル、インエクセス、アイアン・メイデン、ジョイ・ディヴィジョン/ニュー・オーダー、オアシスの8組程度だ。ジェネシスのメンバーとしてすでに殿堂入りを果たしているフィル・コリンズは、ロックバンドの一員という側面とポップスの超大物という顔を併せ持ち、その境界線上に位置すると言えるかもしれない。
一方で、ポップ勢としてはピンク、マライア・キャリー、ラテンポップのクロスオーバースターであるシャキーラが名を連ねる。さらに、ローリン・ヒル、ニュー・エディション、ルーサー・ヴァンドロス、ウータン・クランといったR&B/ヒップホップ勢の存在感も大きい。ロックの殿堂2026は、ロックという言葉の歴史的定義よりも、音楽史全体への影響力を重視している姿勢がうかがえる。
もっとも、殿堂は本物のロックンロールだけに絞るべきだと毎年声を上げる人々にとっては、今年も不満のタネが尽きないだろう。幅広いジャンルを網羅する一方で、直近23年間で殿堂入りしたカントリーアーティストは、ドリー・パートンただひとりにとどまっているという現実もある。ロックの殿堂2026のノミネートは、多様性の拡張とジャンル間バランスの課題を同時に浮かび上がらせている。
3度目の転機と初資格年ノミネート―ロックの殿堂2026の注目点
ロックの殿堂2026では、過去の挑戦回数という観点でもいくつかの焦点がある。3度目のノミネートとなるのは、マライア・キャリー、アイアン・メイデン、ジョイ・ディヴィジョン/ニュー・オーダー、オアシスの4組だ。長年支持を集めてきたこれらのアーティストにとって、今回が転機となる可能性もある。
2度目のノミネートとなるのは、ザ・ブラック・クロウズ、ビリー・アイドル、シャーデーの3組である。なお、これらの過去のノミネートはいずれも2021年以降であり、殿堂が大昔の候補を掘り起こしているわけではないことも特徴的だ。
初めて資格を得た年にノミネートされたのはピンクのみである。彼女のデビューアルバム『Can’t Take Me Home』は2000年にリリースされた。キャリア25年以上を経て初資格年で候補入りしたことは、ロックの殿堂2026における象徴的な出来事と言える。
また、フィル・コリンズはジェネシスのメンバーとしてすでにロックの殿堂入りを果たしており、今回の候補者の中で唯一の殿堂入り経験者となる。ソロアーティストとしての再評価が実現すれば、二度目の殿堂入りとなる。
さらに、故ジェフ・バックリーは生前に1枚のアルバムしかリリースしていないにもかかわらず殿堂入りの機会を得るという、稀有なアーティストだ。『Grace』は1994年に発表され、1997年に他界した彼の影響力が、改めてロックの殿堂2026の場で問われることになる。
今後2か月間にわたり投票が行われ、殿堂の1,200人の投票者によって選ばれたアーティストは4月に発表される予定だ。その際、音楽的影響力部門、音楽的卓越性部門、アーメット・アーティガン非演奏者賞という3つの特別委員会カテゴリーの受賞者も併せて明らかになる。
