『ホーム・アローン』35周年対談―マコーレー・カルキンと監督が語る名作の裏側と続編が失敗した理由

『ホーム・アローン』より ©1990 Twentieth Century Fox Film Corporation. NEWS
『ホーム・アローン』より ©1990 Twentieth Century Fox Film Corporation.

『ホーム・アローン』35周年を記念し、主演マコーレー・カルキンと監督クリス・コロンバスが撮影秘話やシリーズの現在、続編への思いを語った。


映画『ホーム・アローン』(1990年)が公開から35周年を迎えた。これを記念し、主演のマコーレー・カルキンと監督のクリス・コロンバスが、アカデミー映画博物館で行われた上映イベントにそろって登壇。意外にも、ヒット作でありながらふたりが公の場で本作についてじっくり語り合うのは、これが初めてだという。

対談では、映画誕生の舞台裏から、続編シリーズへの率直な評価、さらには“もし新作を作るなら”という構想まで、過去・現在・未来を横断する話題が語られた。

すべてはジョン・ヒューズからの一本の脚本だった

『ホーム・アローン』の始まりは、脚本家ジョン・ヒューズがクリス・コロンバスに脚本を持ち込んだことだった。当時コロンバスは、ヒューズ脚本の『ホリデーロード 4000キロ』(1983年)を途中で降板した直後であり、監督としての将来に不安を抱えていたという。

その時の心境について、コロンバスは「ジョン・ヒューズに電話して『チェヴィー・チェイスとうまくやっていけない。彼と映画を作れるとは思わない』と言わなきゃならなかったんだ」と振り返っている。

この電話を境に、もう二度と監督の仕事が来ないかもしれないと覚悟していたという。しかし結果的にコロンバスは『ホーム・アローン』のメガホンを取り、作品は世界的ヒットを記録。現在に至るまで、世代を超えて愛されるホリデー映画の定番となった。

笑えなかった名シーン――危険と隣り合わせだった撮影現場

『ホーム・アローン』が長く愛され続ける理由について、コロンバスは「映画のルックと雰囲気に時代を超越した感覚があるから」だと語る。一方で、子ども向けのコメディという印象とは裏腹に、撮影現場は常に危険と隣り合わせだったという。

物語の見どころとなる、8歳のケビン・マカリスターが泥棒のハリー(ジョー・ペシ)とマーヴ(ダニエル・スターン)に仕掛ける数々の罠は、想像以上にリアルに作られていた。スタント撮影について、コロンバスは当時の心境を「スタントマンがスタントをやるたびに、笑えなかった。見ていて死んだんじゃないかと思ったよ」と率直に明かしている。

俳優自身も、身体を張った撮影に参加していた。ハリーの頭に火が燃え移るシーンでは、ジョー・ペシが特殊な耐火キャップを着用する必要があったが、当初は「そんなクソみたいなもの、絶対かぶらねえよ」と強く拒否していたという。

最終的には、プロデューサーのマーク・ラドクリフが自分の娘にキャップをかぶせ、実際に火をつけて安全性を示すことで、ようやくペシを説得できたとコロンバスは振り返る。また、マーヴが顔にタランチュラを這わせる場面では、本物の蜘蛛が使用された。スターンは叫ぶことができず、悲鳴は後から音声で加えられたという。蜘蛛が「噛みついたり興奮したりしてしまう」可能性があったためだ。

こうした緊張感のある撮影の積み重ねが、コミカルでありながらも観る者の記憶に強く残る名シーンを生み出していった。

「完全にめちゃくちゃに」された――続編シリーズへの率直な評価

『ホーム・アローン』は1992年の『ホーム・アローン2』まで、マコーレー・カルキンとクリス・コロンバスが参加した形で制作された。しかしその後もシリーズは続き、1997年の『ホーム・アローン3』、2002年の『ホーム・アローン4』、2012年の『ホーム・アローン5』、さらに2021年には『ホーム・スイート・ホーム・アローン』が製作されている。

こうした続編について、コロンバスは今回、率直な思いを隠さなかった。イベントに先立ち、米『ハリウッド・リポーター』誌の取材に対し、フランチャイズに戻ることが難しい理由として「本当にひどい続編で作り直されてきたこと」を挙げている。

さらに「誰かを侮辱するつもりはないけど、彼らは完全にめちゃくちゃにしてしまったんだ。『ホーム・アローン3』から始まって、そこからずっと下り坂。『ホーム・アローン3』は駄作の中ではまだマシな方だね」と評価は厳しさを増す。

コロンバスは、失敗の要因の一つとしてアクションシーンでワイヤーが多用された点を挙げ、「スタントの偽物感を生む」と指摘した。これに対し、カルキンも簡潔に「それに、僕らもいなかったしね」と付け加えている。

名作と呼ばれる1作目、2作目と、その後のシリーズの間に生じた決定的な断絶は、制作体制や表現手法だけでなく、作品の“核”となる存在が欠けていたことにもあったと言えそうだ。

それでも語られた“もしも”――マコーレー・カルキンの続編構想

シリーズのその後に厳しい評価を下しながらも、マコーレー・カルキンは「もし自分が続編を考えるなら」という前提で、独自のアイデアを語った。イベントでは、その構想を比較的具体的に説明している。

カルキンが思い描くのは、成長したケビン・マカリスターの姿だ。

「ケビンが年を取っていて、妻に先立たれてたりとか、そんな感じっていうのがいいと思うんだ。彼は子どもを育てていて、あまりうまくいってない。仕事ばかりしていてね……ほとんど『ライアー ライアー』みたいな感じかな」

物語の展開についても、二つのパターンを想定しているといい、「一つは、彼が実際に間違えて子供を置き去りにしてしまう。母親に電話して『本当にごめん、今わかったよ』って。もう一つは、わざと置き去りにする。『ああ、あれが今の俺を作ったんだ』みたいにね」と説明した。

さらに、この構想では「それで息子が僕を家から締め出して、罠を仕掛けたりするんだ。で、僕はそれが見えると思うんだ。だって、僕が専門家だからね」と立場の逆転を描く。罠を仕掛けるのは子どもであり、家から締め出されるのは父親となったケビンだ。

警察や鍵屋を呼ばない理由についても、物語の中で説明できるとカルキンは語り、「息子にやられてるのが恥ずかしいし、これは僕の得意分野だからさ。家は息子の心に戻るための一種のメタファーになると思うんだ」と説明している。

子ども時代の成功体験を、そのまま繰り返すのではなく、親子関係や時間の経過を物語の軸に据えたこのアイデアは、これまでのシリーズとは異なる方向性を示している。

全員がそろわなければ意味がない――コロンバスが語る“再現不可能性”

マコーレー・カルキンの続編構想に対し、クリス・コロンバスは慎重な姿勢を崩していない。長年にわたり、彼のもとには数多くのアイデアが持ち込まれてきたという。「600種類くらいの異なるアイデア」を聞いてきたと語るコロンバスは、続編に価値が生まれる条件として、明確な基準を挙げている。

それは、カルキンに加え、ハリー役のジョー・ペシ、マーヴ役のダニエル・スターンの3人がそろって戻ることだ。しかし現実的には、その可能性は高くない。カルキン自身も冗談交じりに「ジョー・ペシは82歳だけど、まだ転んでくれると思うよね?」と語り、会場の笑いを誘った。

コロンバスは米『ハリウッド・リポーター』誌に対し、過去に自身が考えた別の続編案についても明かしている。それは、ハリーとマーヴが20年の刑期を終えて出所し、復讐を誓うというものだった。「彼らは憤っていて、怒っていて、復讐したがっている。誰に復讐したいかって? マコーレーにだよ」

当時想定していたのは、成長したケビンの子どもたちが、新たに2人に立ち向かうという構図だったという。しかしこの案についても、実現性には「ジョー・ペシは興味を持たないと思う。ダン・スターンには1992年以来会ってないし、彼が興味を持つかどうかわからない」との疑問が残る。

コロンバスが最終的に強調したのは、作品が特定の時代とキャストに強く結びついているという事実だった。
「その年齢、その特定の時期のキャストに基づいている部分があって、それを複製することはできないと思うんだ」

こうして語られたのは、続編の可能性よりも、『ホーム・アローン』という作品が、いかに一度きりの奇跡として成立していたかという認識だった。

「ケビン」は今も生きている――子どもたちに語り継がれる魔法

対談の終盤では、会場に集まった子どもたちからの質問にも答えられた。そこでマコーレー・カルキンは、自身の子どもたちに『ホーム・アローン』を見せた時のエピソードを披露している。意外なことに、子どもたちは父親が主演俳優だとは気づいていないという。

カルキンは笑いながら「彼らは『ホーム・アローン』とも呼ばないんだ、『ケビン』って呼ぶんだよ。『わあ、ケビンって本当に面白いね』って言うから、僕は『彼はハンサムでもあるよ、君たちのママ(ブレンダ・ソング)が好きになりそうな人だね』って言うんだ」と語った。

長男に映画を見せた際の出来事についても明かした。兄弟写真を見ていた子どもが、画面の中の幼いマコーレーを指して「これ誰?ケビンみたい」と言ったという。

さらに、親戚の子どもとの「彼らが彼女に『今夜ケビンを見るよ』って言ったら、彼女が僕の方を向いて『あなたがケビンでしょ』って」というやりとりも紹介された。

カルキンはその場を取り繕うように「違うよ、君がケビンだよ、黙ってて!」と誤魔化したといい、「魔法を生かし続けようとしてるんだよね」と語る。

対談の最後、カルキンは『ホーム・アローン2』で知られる象徴的なセリフを引用し、観客に向けて「メリー・クリスマス、豚野郎」と告げてステージを後にした。

35年を経た今も、「ケビン」という名前は世代を超えて生き続けている。その事実こそが、『ホーム・アローン』という作品が特別であり続ける理由なのかもしれない。

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