リジー・ボーデンは、アメリカ・マサチューセッツ州フォールリバー出身の女性。
1892年、父アンドリュー・ボーデンと継母アビー・ボーデンが自宅で惨殺された事件で殺人罪に問われ、翌1893年の裁判で無罪評決を受けたことで知られる。事件ではほかに有罪判決を受けた人物はおらず、現在まで未解決事件として扱われている。センセーショナルな裁判と「Lizzie Borden took an axe」で始まる童謡によってアメリカ犯罪史を代表する人物の1人となり、後世には数多くの映画やテレビシリーズの題材となった。
リジー・ボーデン プロフィール(基本情報)
名前:リジー・ボーデン(Lizzie Borden/Lizzie Andrew Borden)
生年月日:1860年7月19日
没年月日:1927年6月1日(66歳没)
出身地:アメリカ|マサチューセッツ州フォールリバー
職業:なし(教会活動・慈善活動などに従事)
主な題材作品:『女死刑囚の秘密』、『MONSTER モンスター』、『モンスターズ 悪魔の復讐』、『モンスター: リジー・ボーデンの物語』
・1860年、マサチューセッツ州フォールリバーで、実業家アンドリュー・ボーデンとサラ・アンソニー・モース・ボーデンの娘として生まれる。母サラはリジーが幼い頃に死去し、父アンドリューは1865年にアビー・グレイと再婚。リジーは姉エマとともに育った。
・成人後も結婚せず実家で暮らし、地元のセントラル・コングリゲーショナル教会に参加。日曜学校で教えるほか、キリスト教青年活動や禁酒運動などにも関わり、事件以前は地域社会で比較的尊敬される存在だった。
・1892年8月4日、フォールリバーの自宅で継母アビーと父アンドリューが相次いで殺害された。アビーは2階の客室、アンドリューは1階のソファで発見され、いずれも手斧とみられる凶器で頭部を何度も殴打されていた。事件当時、リジーと住み込みの使用人ブリジット・サリヴァンが家におり、リジーの供述の矛盾などから捜査の焦点が向けられ、8月11日に逮捕された。
・検察側は家族内の確執や事件後にリジーがドレスを焼却したことなどを状況証拠として提示した一方、犯行に使用されたと断定できる凶器や血まみれの衣服など、彼女を直接犯行に結びつける決定的な物証は見つからなかった。1893年6月の裁判では男性のみで構成された陪審が無罪評決を下した。
・無罪判決後は姉エマとともに父の遺産を相続し、フォールリバーの高級住宅街に大邸宅を購入。「メープルクロフト」と名付けて暮らした。その後は「Lizzie」ではなく「Lizbeth」という綴りを使うようになり、演劇を好んでニューヨークやボストンなどを訪れていた。女優ナンス・オニールとも親しい関係を築いたが、1905年にはエマがメープルクロフトを離れ、姉妹はその後ほぼ絶縁状態となった。
・1927年6月1日に肺炎のため66歳で死去。フォールリバーのオーク・グローブ墓地に、父アンドリューや継母アビーらとともに埋葬された。事件についてリジー以外の人物が起訴されることはなく、真犯人は現在まで特定されていない。
・事件をもとに「Lizzie Borden took an axe / And gave her mother forty whacks…」という童謡が広まり、リジーのイメージを決定づけた。ただし、殺害された女性は実母ではなく継母アビーで、実際の殴打回数も歌詞の「40回」「41回」とは異なる。こうした事実と伝説の混在も含め、20世紀以降の大衆文化で繰り返し再解釈されている。
リジー・ボーデンを題材・モデルにした主な作品一覧
映画・テレビ映画
- 『女死刑囚の秘密』(1975):テレビ映画。別題『真犯人か!無実か!若き女囚の秘密』『若き女囚の秘密』『リジー・ボーデン 奥様は殺人鬼』。エリザベス・モンゴメリーがリジー・ボーデンを演じ、1893年の裁判を中心に事件を描く。
- 『Lizzie(原題)』(2012):ボーデン家殺人事件をモチーフに、現代の物語とリジー・ボーデンの伝説を組み合わせたホラー映画。
- 『MONSTER モンスター』(2014):テレビ映画。別題『伝説の殺人リジー・ボーデン事件』。クリスティナ・リッチがリジーを演じ、事件と裁判を独自の解釈を交えて描いた。
- 『モンスターズ 悪魔の復讐』(2018):クロエ・セヴィニーがリジー、クリステン・スチュワートが使用人ブリジット・サリヴァンを演じる。2人の関係や家庭内の抑圧を大胆に脚色しながら、ボーデン家殺人事件を再構成した作品。
テレビシリーズ
- 『The Older Sister(原題)』(1956):テレビシリーズ『Alfred Hitchcock Presents(原題)』の一話。事件から1年後を舞台にリジーと姉エマを描き、実際の事件に独自の真相を与えたフィクション。
- 『リジー・ボーデン 美しき殺人鬼』(2015):クリスティナ・リッチ主演。『MONSTER モンスター』の続編として製作された全8話のシリーズで、無罪判決後のリジーを題材に、実在人物や出来事を交えながら大幅にフィクション化した物語を描く。別題『外伝リジー・ボーデン事件』。
- 『モンスター: リジー・ボーデンの物語』(2026):Netflixのアンソロジーシリーズ『モンスター』第4弾。エラ・ベイティがリジーを演じ、父アンドリュー役にチャーリー・ハナム、継母アビー役にレベッカ・ホール、使用人ブリジット・“マギー”・サリヴァン役にヴィッキー・クリープスを起用。史実を下敷きにしながら、リジーを犯人とする立場で人物関係や動機を大幅にフィクション化している。全8話。
