映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』(2017)を紹介&解説。
映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』概要
映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』は、ジェームズ・ガン監督が、銀河を駆けるはみ出し者チーム「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」の新たな冒険と家族の物語を描くSFアドベンチャー。2014年の『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』に続くシリーズ第2作で、ピーター・クイルの出生の秘密を軸に、ガモーラとネビュラ、ロケット、ヨンドゥらそれぞれが抱える孤独や家族への思いが交錯する。主演はクリス・プラット、共演にゾーイ・サルダナ、デイヴ・バウティスタ、マイケル・ルーカー、カレン・ギラン、カート・ラッセルら。
作品情報
| 日本版タイトル | 『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』 |
|---|---|
| 原題 | Guardians of the Galaxy Vol. 2 |
| 製作年 | 2017年 |
| 本国公開日 | 2017年5月5日 |
| 日本公開日 | 2017年5月12日 |
| ジャンル | アクション/ヒーロー/アドベンチャー/SF |
| 製作国 | アメリカ |
| 原作 | マーベル・コミック「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」(コミック) |
| 上映時間 | 136分 |
| 監督・脚本 | ジェームズ・ガン |
|---|---|
| 製作 | ケヴィン・ファイギ |
| 製作総指揮 | ルイス・デスポジート/ヴィクトリア・アロンソ/ジョナサン・シュワルツ/ニコラス・コルダ/スタン・リー |
| 撮影 | ヘンリー・ブラハム |
| 編集 | フレッド・ラスキン/クレイグ・ウッド |
| 作曲 | タイラー・ベイツ |
| 出演 | クリス・プラット/ゾーイ・サルダナ/デイヴ・バウティスタ/ヴィン・ディーゼル/ブラッドリー・クーパー/マイケル・ルーカー/カレン・ギラン/ポム・クレメンティエフ/エリザベス・デビッキ/カート・ラッセルほか |
| 製作 | マーベル・スタジオ |
| 配給 | ウォルト・ディズニー・スタジオ |
あらすじ
銀河を救ったことで名を知られるようになったピーター・クイル/スター・ロード、ガモーラ、ドラックス、ロケット、そして幼い姿となったグルートの5人。
ある任務をきっかけに強大な敵から追われることになった一行の前へ、ピーターの父親を名乗る謎の男エゴが現れる。幼い頃に母を亡くし、実の父を知らずに育ったピーターは、仲間たちとともにエゴが暮らす美しい惑星を訪れ、自身の出生に隠されていた秘密へ近づいていく。
一方、ガーディアンズを追うラヴェジャーズではヨンドゥの立場が揺らぎ、ガモーラと妹ネビュラの確執も激化。それぞれが血のつながりや過去と向き合う中、ガーディアンズは銀河の命運を左右する新たな危機に巻き込まれていく。
主な登場人物(キャスト)
ピーター・クイル/スター・ロード(クリス・プラット):地球生まれの宇宙冒険家で、ガーディアンズのリーダー。長年謎だった実父エゴと出会い、自身の出自について知ることになる。
ガモーラ(ゾーイ・サルダナ):サノスの養女として育てられた戦士。妹ネビュラとの間に長年の確執を抱えており、その関係と向き合っていく。
ドラックス(デイヴ・バウティスタ):家族を奪われた過去を持つ屈強な戦士。率直すぎる性格と独特のユーモアでチームを支える。
ロケット・ラクーン(ブラッドリー・クーパー):高度な知能と戦闘技術を持つ遺伝子改造アライグマ。攻撃的な態度の裏側に、他者との関係を自ら壊してしまう孤独を抱えている。
ベビー・グルート(ヴィン・ディーゼル):前作で仲間を守ったグルートが小さな姿となった存在。無邪気な行動でチームに騒動と癒やしをもたらす。
ヨンドゥ・ウドンタ(マイケル・ルーカー):宇宙海賊ラヴェジャーズの一派を率いる男。幼いピーターを地球から連れ去り、長年育ててきた人物でもある。
ネビュラ(カレン・ギラン):ガモーラの義妹。父サノスのもとで姉と競争させられて育った経験から、ガモーラへ激しい憎しみを向ける。
マンティス(ポム・クレメンティエフ):他人の感情を読み取り、触れることで感情へ干渉できる能力を持つ女性。エゴとともに暮らしている。
エゴ(カート・ラッセル):ピーターの実父を名乗る謎の存在。広大で美しい惑星へピーターたちを招き、彼の出生にまつわる秘密を明かしていく。
アイーシャ(エリザベス・デビッキ):高度な文明を持つ種族ソヴリンの指導者。ガーディアンズの行動に激怒し、彼らを追跡する。
作品の魅力解説・レビュー
銀河の物語で描かれる「家族とは何か」
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』の中心にあるのは、宇宙の命運以上に家族とは血縁によって決まるものなのかという問いである。
ピーターは初めて実父エゴと出会い、自分の出自を知っていく。一方で、彼を少年時代から育ててきたのはヨンドゥだった。ガモーラとネビュラは姉妹でありながら、父サノスによって競争を強いられた過去が深い傷となっている。ロケットもまた、仲間を必要としていながら自ら関係を壊そうとする人物として描かれる。
舞台は惑星をまたぐ壮大な宇宙だが、そこで起きていることは、父親、兄弟姉妹、親代わり、そして血のつながらない仲間との関係という極めて身近な問題だ。このスケールの落差こそ、本作のドラマを強くしている。
複数の人物の物語を一本へ束ねる群像劇
ピーターの出生、ガモーラとネビュラの確執、ロケットの孤独、ヨンドゥの人生、ベビー・グルートの成長と、本作には多くの物語が同時進行する。
これだけの要素を詰め込みながら、それぞれを独立したサブプロットとして終わらせず、最終的に「自分を家族として受け入れてくれる存在」という共通テーマへ収束させる構成が巧みだ。
とりわけ前作では粗暴な宇宙海賊という印象の強かったヨンドゥを掘り下げたことで、ピーターの人生そのものが別の角度から見えてくる。
派手な宇宙戦争の裏側で、一人ひとりが「誰に必要とされ、誰を必要としているのか」を描き続けている。
ベビー・グルートが支えるコメディと感情の緩急
本作を象徴する存在のひとつが、小さな姿となったベビー・グルートだ。
冒頭の戦闘から周囲で激しい攻防が繰り広げられているにもかかわらず、自分の世界で踊り続ける姿によって、ジェームズ・ガンらしいアクションとコメディの同居を一瞬で提示する。
物語が家族の傷や孤独といった重い領域へ進んでも、ベビー・グルートの無邪気さが適度な緩衝材として機能する。爆弾の扱いを説明される場面など、小さなキャラクターを使った反復的な笑いも効果的だ。ただ可愛らしいマスコットを配置したのではなく、作品全体のテンポを調整する重要な存在になっている。
音楽がキャラクターの感情を語る「もうひとつの脚本」
シリーズの特徴である1970~80年代を中心としたポップ/ロック楽曲は、本作でも単なるBGM以上の役割を担う。
ピーターにとって音楽は、亡き母や地球とのつながりを残す記憶そのものだ。そのため楽曲の選択は、場面を盛り上げるだけでなく、人物同士の距離や心情を言葉とは別の形で伝えている。
中でもフリートウッド・マックの「The Chain」は、関係が分断され、再び結び直されていく物語と強く共鳴する。
台詞、映像、楽曲が互いに意味を補完する構成は、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズならではの魅力だ。
エゴの惑星が見せる鮮烈な宇宙世界
エゴが暮らす惑星は、色彩豊かな植物、巨大な建造物、幻想的な地形によって構成され、それまでのMCUとも異なる視覚的個性を持つ。
その美しさはピーターが抱く「ようやく父と出会えた」という理想化された感情とも重なっており、単なる背景美術ではない。
銀河を舞台とするシリーズらしい圧倒的なスケールと、家族をめぐる親密なドラマ。このふたつを同じ画面に成立させたことが、『リミックス』を単なる前作の拡大版ではない続編にしている。
簡易ストーリー解説(ネタバレ)
起|ピーター、実の父エゴと出会う
ガーディアンズは任務を終えた直後、ロケットが依頼主ソヴリンの電池を盗んだことで追われる身になる。逃走中、彼らを救ったのは謎の男エゴ。彼はピーター・クイルの実の父親だった。
幼いころ母を亡くし、父親を知らずに育ったピーターは、ガモーラ、ドラックスとともにエゴの星へ向かう。一方、ロケットとベビー・グルートは宇宙船に残るが、ピーターを追ってきたヨンドゥたちに捕らえられてしまう。
承①|父との幸福と、姉妹のわだかまり
エゴの星でピーターは父親との時間を過ごし、自分にもエゴと同じ強大な力が宿っていることを知る。長年求めていた父親をようやく得たピーターは、次第にエゴを信頼していく。
そのころ、ガモーラとネビュラは激しく衝突。ネビュラは、父サノスが幼い2人を戦わせ、自分がガモーラに負けるたび身体を機械へ置き換えていた過去を明かす。
ネビュラが本当に欲しかったのはガモーラに勝つことではなく、「姉」だった。ガモーラもようやく妹の苦しみを理解し、2人の関係は少しずつ変化していく。
承②|ヨンドゥとロケット、似た者同士が手を組む
ピーターを捕らえるよう依頼されていたヨンドゥだったが、育ての親としての情から彼を本気で追い詰めることができず、部下たちに反乱を起こされる。
捕虜となったヨンドゥは、同じく捕まったロケットやグルートと協力して脱出。他人を傷つけ、自分から人を遠ざけようとするロケットに、ヨンドゥは自分と同じ孤独を見抜く。
3人はピーターたちを救うため、エゴの星へ向かう。
転|エゴの正体と母の死の真相
やがてエゴの本当の目的が判明する。彼は宇宙全体を自分自身で覆い尽くそうとしており、その計画を完成させるためにピーターの力を必要としていた。
さらにピーターは、母メレディスが亡くなった原因までエゴだったことを知る。エゴは彼女を愛してしまったため、計画の邪魔になると考え、その脳に腫瘍を植え付けて死なせていた。
父親を得られた喜びは一瞬で崩壊。激怒したピーターはエゴに反旗を翻す。
ガーディアンズは合流し、エゴの星そのものを破壊する作戦を開始。ベビー・グルートが中心部へ爆弾を運び、仲間たちは脱出を図る。
結|本当の父親は誰だったのか
爆発寸前の星でピーターはエゴとの戦いに取り残されるが、ヨンドゥが助けに戻ってくる。
ヨンドゥは、かつて幼いピーターをエゴへ引き渡さなかった本当の理由を明かす。エゴが自分の子どもたちを利用し、役に立たなければ殺していたことを知ったため、ピーターだけは守ろうとしていたのだった。
エゴは星とともに死亡し、ピーターも彼から受け継いでいた超人的な力を失う。
しかし脱出用の宇宙服は1人分しか残っていなかった。ヨンドゥはそれをピーターに着せ、自らは宇宙空間にさらされる。
「エゴはお前の父親だったかもしれない。でも、お前の親父じゃなかった」
ピーターを救ったヨンドゥは死亡する。
ピーターはここで、ずっと探し続けていた「父親」が実は最初からそばにいたことに気づく。血のつながったエゴではなく、不器用ながら自分を育て、最後には命まで差し出したヨンドゥこそ、本当の父親だった。
最後はヨンドゥの葬儀。かつて彼を追放したラヴェジャーズたちも集まり、宇宙を彩る盛大な弔砲でその死を悼む。
ロケットもまた、孤独を抱えていたヨンドゥに自分自身を重ねて涙を流す。
ピーターとヨンドゥ、ガモーラとネビュラ、そしてロケット。それぞれの関係を通して、物語は「血のつながりではなく、ともに生きてきた相手こそ家族になり得る」という結論へたどり着く。
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ライター/エディター/映画インスタグラマー。2019年に早稲田大学法学部を卒業。東京都職員として国際業務等を経験後、ライター業に転身。各種SNS(Instagram・X)やYouTubeチャンネル「cula 見て聞く映画マガジン(旧:アルテミシネマ)」においても映画や海外ドラマ、音楽といったカルチャーに関する情報レビューを発信している。
