映画『ジェニー・ペンはご機嫌ななめ』(2024)を紹介&解説。
映画『ジェニー・ペンはご機嫌ななめ』概要
映画『ジェニー・ペンはご機嫌ななめ』は、ニュージーランドの作家オーウェン・マーシャルによる短編をもとに、ケアハウスで起こる支配と恐怖を描くサイコスリラー。病に倒れた元判事が入居した介護施設で、ドールセラピー用の指人形“ジェニー・ペン”を手にした入居者による陰湿ないじめに直面し、人生最後の闘いへと追い込まれていく。監督はジェームズ・アッシュクロフト(『Coming Home in the Dark(原題)』)。主演はジョン・リスゴーとジェフリー・ラッシュ、共演にジョージ・ハナレ、イアン・ミューンら。
作品情報
日本版タイトル:『ジェニー・ペンはご機嫌ななめ』
原題:The Rule of Jenny Pen
製作年:2024年
本国公開日:2025年3月20日
日本公開日:2026年6月12日
ジャンル:サイコスリラー/ホラー
製作国:ニュージーランド
原作:オーウェン・マーシャルの短編小説
上映時間:104分
レーティング:G
監督:ジェームズ・アッシュクロフト
脚本:エリ・ケント/ジェームズ・アッシュクロフト
製作:キャサリン・フィッツジェラルド/オーランド・スチュワート
製作総指揮:ジェームズ・アッシュクロフト/エリ・ケント/ジョン・リスゴー/ジェフリー・ラッシュ/ニコラス・ラゾ/サミュエル・ジマーマン/エミリー・ゴット
撮影:マット・ヘンリー
編集:グレッチェン・ピーターソン
作曲:ジョン・ギブソン
音楽スーパーバイザー:アミン・ラマー
人形デザイン:ポール・ルイス
出演:ジョン・リスゴー/ジェフリー・ラッシュ/ジョージ・ハナレ/イアン・ミューン
製作:ライト・イン・ザ・ダーク・プロダクションズ/ブルースキン・フィルム
配給:エデン(日本)
日本語字幕:松浦美奈
©2024 Hyenas Rule Ltd
あらすじ
長年にわたり法を守ることを信念としてきた元判事ステファン・モーテンセンは、突然病に倒れ、車椅子生活を余儀なくされる。回復を望みながら郊外のケアハウスに入居した彼は、そこでデイヴ・クリーリーという長期入居者と出会う。デイヴは“ジェニー・ペン”と名付けた指人形を手に、ほかの入居者たちを密かに支配していた。やがてステファンも標的となり、理不尽な嫌がらせは次第にエスカレートしていく。誰にも助けを求められない閉ざされた施設の中で、ステファンは自らの尊厳を守るため、人生最後の闘いに身を投じる。
主な登場人物(キャスト)
デイヴ・クリーリー(ジョン・リスゴー):ケアハウスの長期入居者。ドールセラピー用の指人形“ジェニー・ペン”を常に手にし、周囲には無害な老人のように振る舞いながら、入居者たちを陰湿ないじめで支配している。
ステファン・モーテンセン(ジェフリー・ラッシュ):正義感と強いプライドを持つ元判事。病に倒れて車椅子生活となり、ケアハウスに入居する。デイヴの支配に抗おうとしたことで標的となり、尊厳をかけた闘いに追い込まれる。
トニー・ガーフィールド(ジョージ・ハナレ):ケアハウスの入居者。
ホーウィー・ウィッカー(イアン・ミューン):ケアハウスの入居者。
ジェニー・ペン:デイヴが手にするドールセラピー用の指人形。単なる小道具ではなく、デイヴの支配欲や暴力性を象徴する存在として、作品全体に不気味な緊張感をもたらす。
作品の魅力解説
本作の大きな特徴は、恐怖の舞台を超自然的な世界ではなく、現実に存在するケアハウスに置いている点にある。加齢、病、身体の自由を失うこと、助けを求めても信じてもらえない孤立感が、観客にとって身近な不安として迫ってくる。ホラーでありながら、高齢化社会に潜む見過ごされやすい暴力や支配を描いているところに、作品の鋭さがある。
ジョン・リスゴーとジェフリー・ラッシュの対決も見どころである。デイヴを演じるジョン・リスゴーは、穏やかな老人の顔と、他者を支配する冷酷さを併せ持つ人物を不気味に体現。対するジェフリー・ラッシュは、元判事としての誇りを失わない一方で、身体の自由を奪われていくステファンの怒りと恐怖を繊細に表現する。ふたりの名優による演技のぶつかり合いが、閉ざされた施設内の緊張を高めている。
また、“ジェニー・ペン”という人形の存在も本作ならではの魅力である。人形そのものが超自然的な力を持つわけではないが、デイヴの暴力性を媒介する道具として機能し、観る者に強い不快感と恐怖を残す。かわいらしさと不気味さが同居する造形は、作品の象徴として強い印象を与える。
『ジェニー・ペンはご機嫌ななめ』は、ケアハウスを舞台にした心理戦であり、老いと尊厳をめぐるサバイバルでもある。閉鎖空間の息苦しさ、現実味のある恐怖、名優ふたりの演技が重なり、単なる人形ホラーとは異なる後味を残すサイコスリラーとして注目したい。
