【炎上】チャペル・ローンら複数アーティストがエージェンシー離脱表明-エプスタイン関連文書で問われるワッサーマンの命運

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エプスタイン関連文書の公開を受け、ワッサーマン・ミュージック・エージェンシーではアーティストの離脱が相次ぎ、今週中にも経営判断が下される見通しだ。


創業者兼CEOのケイシー・ワッサーマンと、性犯罪者として有罪判決を受けた故ジェフリー・エプスタインの関係者ギレーヌ・マクスウェルとの過去の繋がりが、先週公開された文書によって明らかになった。

これを受け、音楽業界最大手のひとつであるワッサーマン・ミュージック・エージェンシーでは、複数のアーティストが所属エージェンシーからの離脱を求める動きを見せており、同社の今後を左右する重要な局面を迎えている。

関係者によれば、アーティスト側の反発は週末にかけて一気に加速し、社内外に緊張が走っているといい、『Variety』誌の報道によれば、ある関係者は「炎上状態だ」と語っているそうだ。

文書公開をきっかけに広がった不信感と、CEOを巡る説明責任

問題の発端となったのは、先週公開されたエプスタイン関連文書だ。そこには、ワッサーマンが犯罪が公になる以前にマクスウェルと下品な内容のメールをやり取りしていたことや、2002年にクリントン財団代表団の人道支援旅行の一環として、エプスタインのプライベートジェットに一度搭乗していたことが記録されている。

現時点で判明している事実だけを見れば、ワッサーマンがエプスタインの犯罪や不正行為に直接関与していた証拠は確認されていない。ワッサーマン自身も、この関係について謝罪し、「彼らふたりとの関わりを持ったことを心から申し訳なく思っている」と述べている。

しかし、こうした説明にもかかわらず、文書公開をきっかけに業界内で広がった不信感は収まっていない。現在オリンピックのためイタリアに滞在しているワッサーマンは、今週後半に社内幹部と会合を開き、今後の対応を協議する予定とされている。また、2028年ロサンゼルス五輪組織委員会の会長としても、退任を求める圧力に直面している状況だ。

チャペル・ローンらが相次いで声を上げ、離脱の動きが連鎖

文書公開後、アーティスト側の反応は急速に表面化した。最初に不満を表明したのは、ベスト・コーストのベサニー・コセンティーノ(Bethany Cosentino)で、その後チャペル・ローン、ウェンズデイ(Wednesday)、ウォーター・フロム・ユア・アイズ(Water From Your Eyes)、ビーチ・バニー(Beach Bunny)など、複数のアーティストがSNSを通じてワッサーマンへの抗議や離脱の意思を示している。

月曜日に投稿されたウェンズデイの声明では、「先週、我々はケイシー・ワッサーマンとギレーヌ・マクスウェルとのやり取りを知って愕然とした何百組ものアーティストの一人だった」と記されている。一方で同投稿は、「我々がワッサーマン・エージェンシーで仕事をしているチームの人たちを、まともで信頼できる人たちとして認識することも重要だと思う。私たちは彼らとワッサーマンと繋がる前から数年間仕事をしてきたんだ」とも述べ、経営トップと現場スタッフを切り分けて捉える姿勢を示した。

こうした動きと前後して、同エージェンシーの公式ウェブサイトからは、エド・シーラン(Ed Sheeran)、コールドプレイ(Coldplay)、チャイルディッシュ・ガンビーノ(Childish Gambino)、ケンドリック・ラマー(Kendrick Lamar)、ロード(Lorde)、フィッシュ(Phish)、レイ(Raye)、シザ(SZA)、ジョニ・ミッチェル(Joni Mitchell)、ジャネール・モネイ(Janelle Monae)、ギース(Geese)とフロントマンのキャメロン・ウィンター(Cameron Winter)、タイラー・ザ・クリエイター(Tyler, the Creator)ら数百組に及ぶアーティスト名が記載された名簿が削除された。関係者によれば、これはアーティスト側からの削除要請に応じた対応とみられている。

音楽業界最大手のひとつであるワッサーマン・ミュージック・エージェンシーにおいて、所属アーティスト自らが公の場で異議を唱え、離脱を表明する事態は異例だ。SNSを通じた発信が連鎖的に拡散したことで、問題は社内にとどまらず、業界全体を巻き込む形で拡大している。

契約構造の違いが浮き彫りにする、エージェンシー存続の不安定さ

今回の混乱は、ワッサーマン・ミュージック・エージェンシーの経営判断に直結する問題でもあるが、その背景には音楽業界特有の契約構造がある。関係者によれば、エージェントは通常3〜5年の契約に縛られている一方で、アーティストは必ずしも長期契約を結んでいるわけではないという。

さらに状況を複雑にしているのが、アーティストはエージェンシーそのものよりも、担当エージェント個人に忠誠を示す傾向が強い点だという。多くのアーティストは、長年信頼関係を築いてきたエージェントが別の会社へ移籍すれば、その後を追うようにして所属先を変えるケースが少なくない。同様にエージェント側も、時には何十年もの時間をかけて築いたチームごと、ひとつの会社から別の会社へと移動することがある。

関係者のひとりは、状況が週末に「沸点に達した」と述べており、その後も混乱は加速しているという。マーティ・ダイアモンドやダフィー・マクスウィギンらベテランエージェントを含む幹部たちは、何らかの形で統一された会社を維持しようと団結して動いているとされる。

また、同社に対しては複数の買収提案が持ち込まれているほか、幹部たちが音楽部門を自ら買い取る可能性も取り沙汰されている。ただし、これらの提案がどの程度現実的なものかについては、現時点では不明だ。

過去の不祥事と重なり、問われる創業者名を冠した企業の在り方

ワッサーマンにとって、今回の騒動は単発の問題ではない。2024年7月、創業者であり名門ハリウッドの仕掛け人ルー・ワッサーマンの孫でもある彼が、長年にわたって「連続的に」若手社員と不倫関係を持っていたと告発する報道が出た。当時、ワッサーマンはこれらの疑惑についてコメントしなかったものの、報道は業界内で大きな波紋を呼んだ。

その後、数週間を経て事態は沈静化したように見えたが、今回、前回の疑惑からさほど時間を置かずに新たな問題が浮上したことで、状況は大きく異なっている。特に、創業者の名を冠した企業にとっては、事実関係そのもの以上に、外部からどう見えるかという点が重く受け止められかねない。

実際、今回の文書で明らかになった事実は、ワッサーマンがエプスタインの犯罪に直接関与していたことを示すものではない。それでも、過去の不祥事と重なって受け止められることで、経営トップとしての説明責任や倫理観が、あらためて問われる形となっている。

アーティストの声が突きつけた問いと、今週下される判断の行方

今回の騒動を象徴する声のひとつが、ベサニー・コセンティーノによる声明だ。彼女はSNSへの投稿で、「ワッサーマンに所属するアーティストとして、私は自分の名前やキャリアを、搾取とこんな形で繋がりのある人物と結びつけることに同意していない」と記した。

さらにコセンティーノは、「黙っていることは、良心に照らしてできないよ——特に、権力を持つ男性たちがこれほど頻繁に守られ、許され、あるいは何の結果も受けずに次に進むことを許されている今の状況では。これが大したことじゃないフリをするなんて、私には無理」とも述べている。その言葉は、個人の問題意識を超え、音楽業界全体に向けた問いとして受け止められている。

ワッサーマンおよび関係する多くの代理人は、『Variety』誌の取材に対してコメントを拒否、または返答していないという。一方で、現在イタリアに滞在中のワッサーマンは、今週後半に社内幹部と会合を開き、今後の対応を決定する予定とされている。

アーティストの離脱が連鎖する中で、同社がどのような判断を下すのか。その決断は、ワッサーマン・ミュージック・エージェンシーの将来だけでなく、業界における信頼と責任の在り方をも左右するものとなりそうだ。

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