マッツ・ミケルセンが『ローグ・ワン』撮影を回顧し、脚本未完成の混乱と現場の実情を明かした。
マッツ・ミケルセンが、2016年公開の映画『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』の撮影現場を振り返った。Varietyのキャリア回顧インタビューで明かされたのは、完成稿が固まらないまま進行した異例の制作体制と、その中で俳優たちが直面した戸惑いだった。
脚本が「驚くほど未完成だった」異例の制作体制
ミケルセンによれば、『ローグ・ワン』の撮影は、通常の大作映画とは大きく異なる状況下で進められていたという。脚本は撮影期間を通して修正が重ねられ、完成形が定まらないまま現場が動き続けていた。
「脚本は変わり続けていたんだ」「普通はもう完成しているものだと思うだろう。最終稿は一度も固まらなかったと思うよ。彼らは脚本に手を加え続けて、即興で進めて、撮り直しをして、それからもっと良いアイデアを思いついて、という感じだった」
こうした状況について、ミケルセンは「僕みたいなキャラクターにとっては、まあ何とかなる話なんだけどね。つまり、僕には使命があって、それが何かは分かっていたから」と、自身の役柄であるゲイレン・アーソの場合は比較的対応しやすかったとしつつも、「でも、ふたりの若いヒーローたちにとっては明らかに厄介だっただろうね。どんな重荷を抱えて部屋に入っていくのか、正確には分からなかったわけだから」と、物語の中心を担う若いキャラクターたちにとっては、負担が大きかったと振り返っている。
ミケルセンの発言からは、完成された物語を前提に演技を積み重ねる通常の制作プロセスとは異なり、模索を重ねながら前進する現場の緊張感が浮かび上がる。
雨の中で続いた再撮影、「凍死しかけながら」演じたシーン
脚本や物語構成の変更は、撮影スケジュールや現場環境にも大きな影響を及ぼしていた。中でもミケルセンが特に過酷だったと振り返るのが、水が降り注ぐ中で行われた再撮影のシーンだ。
「あれは過酷な……1日と言いたいところだけど、実際は何日もかかったんだ。ストーリーに多くの変更があったからね」
物語の修正に伴い、同じ場面を何度も撮り直す必要が生じたという。その過程で、撮影条件は俳優にとって厳しいものとなっていった。
「何度も行ったり来たりで、しかも雨が降っていた。人工的な雨を使う場合、長いシーンで氷のように冷たい水を使わずに済ませるのはほぼ不可能なんだ」
冷水が降り続く中、ミケルセンは地面に横たわったまま演技を続けることになった。その体験を、彼は冗談めかしながらも率直に振り返っている。
「だから僕はそこに横たわって、凍死しそうになりながら、目を開け続けようとしていたんだよ」
完成した作品からはうかがい知れないが、度重なる変更と再撮影の裏側には、俳優の身体的な限界に近い状況も存在していたことが明かされた。
『007/カジノ・ロワイヤル』で明かされた意外な裏話
Varietyのインタビューでは、『ローグ・ワン』に限らず、ミケルセンのキャリアを代表する作品についても話題が及んだ。そのひとつが、2006年公開の『007/カジノ・ロワイヤル』だ。
同作でル・シッフルを演じたミケルセンは、共演したダニエル・クレイグとの撮影中のエピソードにも触れている。中でも印象的だったのが、ポーカーを題材とした物語にもかかわらず、クレイグ自身がルールを知らなかったという裏話だ。
「彼はあの映画で唯一ポーカーのやり方を知らない男で、それなのに僕の1億5000万ドルを持って逃げていったんだからね」
シリアスなスパイ映画の裏側で交わされていた軽妙なやり取りは、ミケルセンの俳優人生を振り返るインタビューらしい一幕となっている。
ミケルセンは現在も精力的に活動を続けており、直近ではブライアン・フラーによる長編映画デビュー作『Dust Bunny(原題)』に出演。同作は12月12日に初公開された。『ローグ・ワン』での過酷な経験から現在に至るまで、試行錯誤を重ねながら歩んできた俳優としての軌跡が、今回のインタビューから改めて浮かび上がっている。
