映画『ハスラー2』(1986)を紹介&解説。
映画『ハスラー2』概要
映画『ハスラー2』は、1961年の映画『ハスラー』から25年後の“ファースト・エディ”を描いたスポーツドラマ。マーティン・スコセッシ(『タクシードライバー』『レイジング・ブル』)が監督を務め、かつての天才ハスラー、エディ・フェルソンと、若く才能にあふれたビリヤードプレイヤー、ヴィンセントの師弟関係と対立を描く。前作に続いてポール・ニューマンがエディを演じ、若きハスラー役でトム・クルーズ、共演にメアリー・エリザベス・マストラントニオ、ヘレン・シェイヴァー、ジョン・タトゥーロら。
作品情報
| 日本版タイトル | 『ハスラー2』 |
|---|---|
| 原題 | The Color of Money |
| 製作年 | 1986年 |
| 本国公開日 | 1986年10月17日 |
| 日本公開日 | 1986年12月13日 |
| ジャンル | スポーツ/ドラマ |
| 製作国 | アメリカ |
| 原作 | ウォルター・テヴィス『The Color of Money』(小説) |
| 上映時間 | 119分 |
| 監督 | マーティン・スコセッシ |
|---|---|
| 脚本 | リチャード・プライス |
| 製作 | アーヴィン・アクセラッド/バーバラ・デ・フィーナ |
| 撮影 | ミヒャエル・バルハウス |
| 編集 | セルマ・スクーンメイカー |
| 作曲 | ロビー・ロバートソン |
| 出演 | ポール・ニューマン/トム・クルーズ/メアリー・エリザベス・マストラントニオ/ヘレン・シェイヴァー/ジョン・タトゥーロ/ビル・コッブス/フォレスト・ウィテカー/イギー・ポップ |
| 製作 | タッチストーン・ピクチャーズ/シルバー・スクリーン・パートナーズII |
| 配給 | ブエナ・ビスタ・ディストリビューション(米国)/東宝(日本) |
あらすじ
かつて天才的なプール・ハスラーとして名を馳せたエディ・フェルソンは、すでに勝負の世界から離れ、酒のセールスマンとして暮らしていた。そんなある日、エディは圧倒的な才能を持ちながら、派手なプレーを見せることばかりに夢中な若者ヴィンセントと出会う。若き日の自分を思わせるヴィンセントに目を付けたエディは、恋人カルメンを含む3人で各地のプールホールを巡りながら、勝つ技術だけでなく、金を稼ぐために時には負ける“ハスラー”の技術を教え込んでいく。しかし、勝負に対するふたりの考え方は次第に食い違っていく。
主な登場人物(キャスト)
エディ・“ファースト・エディ”・フェルソン(ポール・ニューマン):かつて凄腕のプール・ハスラーとして活躍した男。現在は勝負の世界から離れているが、ヴィンセントとの出会いによって眠っていた競争心が再び刺激される。
ヴィンセント・ローリア(トム・クルーズ):驚異的なビリヤードの才能を持つ若者。派手なショットで周囲を沸かせることを好み、勝負を金に変えるために実力を隠すというエディの考え方になかなか馴染めない。
カルメン(メアリー・エリザベス・マストラントニオ):ヴィンセントの恋人。ヴィンセント以上に現実的で、人間を観察する力にも優れ、エディとヴィンセントの旅に加わる。
ジャネル(ヘレン・シェイヴァー):エディと親しい女性。再び勝負の世界へ惹かれていくエディを見つめる。
作品の魅力解説
『ハスラー』の再演ではなく、25年後のエディを描く物語
前作『ハスラー』で若く野心的な勝負師だったエディは、本作ではすでに50代。ヴィンセントを育てる師匠の立場に回ったかに見えるが、若者の才能を目の当たりにすることで、自分自身が再びキューを握りたいという欲望を取り戻していく。
そのため本作は典型的な「ベテランが若者を育てる映画」にとどまらない。教える側と教わる側の関係が次第に競争へ変化し、若者の才能に刺激されたベテランが自らの現在地を確かめ直す物語でもある。
ポール・ニューマンとトム・クルーズという二世代のスター
成熟したエディを演じるポール・ニューマンと、勢いに満ちたヴィンセントを演じるトム・クルーズというキャスティングそのものが、本作の構造と見事に重なる。
ニューマンはエディ役で第59回アカデミー賞主演男優賞を受賞。一方のクルーズは同じ1986年に『トップガン』も公開され、一気にハリウッドを代表する若手スターへ駆け上がっていた時期にあたる。スクリーンの内外で異なる世代を代表するスターが対峙することが、エディとヴィンセントの関係に独特の説得力を与えている。
ビリヤードをアクションのように撮るスコセッシ
監督マーティン・スコセッシは、ビリヤードという静かな競技を単調なゲームとしては撮らない。ミヒャエル・バルハウスの移動撮影とセルマ・スクーンメイカーの編集を組み合わせ、キュー、ボール、プレイヤーの身体、観客の視線をリズミカルにつなぎながら勝負を見せていく。
とりわけヴィンセントのプレーには、トム・クルーズ自身の身体性を生かした派手な動きが与えられており、プールホールそのものがパフォーマンスの舞台へ変わる。単に「どちらが勝つか」だけでなく、実力を見せるのか隠すのか、金を取るのかプライドを取るのかというハスラー独特の駆け引きが面白さにつながっている。
続編でありながらスコセッシ作品として成立
前作から25年後という設定とポール・ニューマンの続投に支えられた正統な続編である一方、映像の運動感、音楽の使い方、人間の欲望や競争への執着といった部分にはスコセッシらしさが濃い。
ロビー・ロバートソンによる音楽に加え、エリック・クラプトン、マーク・ノップラー、B.B.キングらの楽曲も使われ、1980年代らしい疾走感を作品へ加えている。前作の重厚さとは異なる映画として独自のスタイルを確立した続編である。
