悪役が勝ってしまった後に——『メガマインド』解説|どんな映画?あらすじ・キャスト・魅力・レビューまとめ

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『メガマインド』より © MEGAMIND™ & © (2010) DreamWorks Animation LLC. All Rights Reserved.

映画『メガマインド』(2010)を紹介&解説。


映画『メガマインド』概要

映画『メガマインド』は、トム・マクグラス監督(『マダガスカル』シリーズ)が、悪役が宿敵のヒーローに勝ってしまった“その後”を描くSFアニメーション・コメディ。メトロシティ征服を夢見る悪の天才メガマインドが、長年のライバルであるメトロマンを倒したことで生きる目的を失い、新たなヒーローを生み出そうとする。ドリームワークス・アニメーション製作。

主演はウィル・フェレル、共演にティナ・フェイ、ジョナ・ヒル、デヴィッド・クロス、ブラッド・ピットら。

作品情報

日本版タイトル 『メガマインド』
原題 Megamind
製作年 2010年
本国公開日 2010年11月5日
日本公開日 劇場未公開(2011年3月12日公開予定だったが中止)
ジャンル アニメーション/SF/コメディ
製作国 アメリカ
原作 無
上映時間 95分
監督 トム・マクグラス
脚本 アラン・スクールクラフト/ブレント・サイモンズ
製作 ララ・ブレイ/デニース・ノーラン・カシーノ
製作総指揮 スチュアート・コーンフェルド/ベン・スティラー
編集 マイケル・アンドリュース
作曲 ハンス・ジマー/ローン・バルフェ
出演 ウィル・フェレル/ティナ・フェイ/ジョナ・ヒル/デヴィッド・クロス/ブラッド・ピット/ベン・スティラー/J・K・シモンズ
製作 ドリームワークス・アニメーション/PDI
配給 パラマウント・ピクチャーズ(米国)/劇場未公開(日本)

あらすじ

青い肌と巨大な頭を持つ悪の天才メガマインドは、発明の才能を駆使してメトロシティ征服を何度も企ててきた。しかし、そのたびに街の人気者であるスーパーヒーロー、メトロマンに阻止されてしまう。

ところがある日、メガマインドは思いがけず宿敵メトロマンを倒すことに成功。念願だった街の支配者となるものの、戦う相手を失った彼は次第に退屈し、自分が何のために生きているのかわからなくなっていく。

そこでメガマインドは、自ら戦う相手となる新たなヒーローを作り出すことを思いつく。しかし、その計画から誕生した超人は、彼の期待とはまったく違う方向へと進み始める。

主な登場人物(キャスト)

メガマインド(ウィル・フェレル):メトロシティ征服を狙う青い肌の宇宙人。ずば抜けた頭脳と発明の才能を持つ一方、長年メトロマンに敗れ続けてきた悪役。宿敵に勝利したことで、それまで悪役として生きてきた自分自身の存在意義と向き合うことになる。
ロクサーヌ・リッチ(ティナ・フェイ):メトロシティで活躍するテレビリポーター。聡明で度胸があり、メガマインドに何度誘拐されても動じない。物語が進むにつれ、メガマインドの表面的な“悪役”像とは異なる一面を知っていく。
ハル/タイタン(ジョナ・ヒル):ロクサーヌと働くカメラマンで、彼女に思いを寄せている男性。メガマインドの計画をきっかけに強大なスーパーパワーを手にするが、その力をヒーローとして使うとは限らない。
コブンギョ(デヴィッド・クロス):幼い頃からメガマインドと行動をともにしてきた忠実な相棒。魚のような姿をしており、水槽型の装置を備えたロボットボディで活動する。悪の計画を手伝いながらも、メガマインドを誰より理解している存在。英名は子分を意味する「ミニオン」。
メトロマン(ブラッド・ピット):メトロシティの人々から絶大な人気を誇るスーパーヒーロー。圧倒的な力を持ち、長年にわたってメガマインドの野望を阻止してきた宿敵でもある。
バーナード(ベン・スティラー):メトロマンにまつわる施設で働く男性。ある出来事をきっかけに、メガマインドとロクサーヌの関係にも関わっていく。

作品の魅力解説・レビュー

“ヒーロー=正義、悪役=悪”では終わらない発想

正義のヒーローが街を守り、悪者が社会の支配を企み、ヒーローに成敗される。『メガマインド』の面白さは、そんな王道のスーパーヒーロー映画の構図をスタート地点にしながら、その先へと物語を進めていくところにある。

宿敵に勝った悪役は、その後どうなるのか。逆に、圧倒的な力を持った者が必ず正義のヒーローになるのか。本作では立場や能力だけで人物を“正義”と“悪”に固定せず、それぞれがどんな選択をするかによって関係性を変化させていく。

メトロマンも単純な聖人として描かれるわけではなく、人々の称賛を浴びるスターとしての派手な自己演出が印象的。一方のメガマインドには、幼い頃から周囲との違いを突きつけられてきた劣等感がある。誰かが絶対的な正義で、誰かが絶対的な悪なのではなく、正義と悪という立場自体が相対的なものだと感じさせる構成が面白い。

悪役メガマインドをヒューマンドラマの主人公にする

メガマインドは典型的な悪役のように振る舞っているが、その背景を知るにつれ、なぜ彼が“悪役”という役割に自分を押し込めてきたのかが見えてくる。

自分より恵まれ、周囲から愛されるメトロマンへの劣等感。その対極にいる存在として自分を定義し続けた結果、「自分は悪者なのだ」というアイデンティティーを作り上げてしまった人物でもある。

だからこそ、宿敵がいなくなった瞬間にメガマインド自身の生きる意味まで揺らぎ始める。スーパーヒーローとヴィランの物語でありながら、他人との比較によって形成された自己像から離れ、「自分は何者になりたいのか」を選び直していくヒューマンドラマとして感情移入できる作品になっている。

軽快なコメディとSFアクションで最後まで楽しい

テーマには意外な深みがある一方、作品全体はあくまで軽快。メガマインドの大げさな言動やキャラクターたちの豊かな表情、テンポのいい掛け合いなど、アニメーションならではのコミカルな演出が随所で笑いを誘う。

変身装置や巨大ロボットをはじめとする奇想天外なSFガジェットも次々登場し、スーパーパワーを使ったアクションも派手。ハンス・ジマーとローン・バルフェによる音楽も加わり、“悪の天才科学者VSスーパーヒーロー”という世界をエンターテインメントとしてしっかり楽しませてくれる。

笑えてワクワクするファミリー向けアニメーションとして成立させながら、正義と悪、劣等感、アイデンティティーといったテーマまで自然に組み込んでいるのが『メガマインド』の魅力だ。

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