スヌープ・ドッグがNFLクリスマス・ハーフタイムショーに登場し、豪華ゲストと特別なステージを披露した。
スヌープ・ドッグが、NFL史上2度目となるクリスマス・ハーフタイムショーの舞台に立った。舞台となったのはデトロイト・ライオンズ対ミネソタ・バイキングス戦。ジャンルや世代を越えたゲストを迎えたこのステージは、年末の一夜限りの特別な演出として注目を集めた。
配信時代のNFLとクリスマス・ハーフタイムショー
この試合はNetflixで配信され、同日には別カードが他の配信サービスでも中継されるなど、ライブスポーツを巡る配信競争が激しさを増す中で行われた。NFLがクリスマス当日にハーフタイムショーを実施するのは昨年に続いて2度目となり、音楽イベントとしてだけでなく、配信戦略の象徴的な試みとしても位置づけられる。
マーサ・スチュワートが開幕を飾った意外な演出
パフォーマンスの幕開けを告げたのは、スヌープ本人ではなく、長年の親友として知られるマーサ・スチュワートだった。彼女は「クリスマスの前夜」をアレンジした紹介文を朗読し、会場を一気にホリデームードへと導いた。
スチュワートとスヌープは、彼が彼女の昼間の番組に出演したことをきっかけに交流を深めてきた間柄であり、この日のカメオ出演は、その長年にわたる友情を象徴する演出となった。格式ある朗読とラップ界のレジェンドという意外な組み合わせは、このステージが単なる音楽パフォーマンスにとどまらないことを印象づける導入となった。
名曲メドレーとゲスト出演が交差した本編ステージ
赤いスーツにファー付きのジャケットをまとったスヌープ・ドッグは、「The Next Episode」のビートとともにステージに登場した。ライブオーケストラを従え、「Nuthin’ but a G Thang」「Who Am I (What’s My Name)?」「Drop It Like It’s Hot」といった代表曲を次々と披露し、キャリアを横断する構成で会場を沸かせた。
一方で、この夜のステージは主役ひとりに焦点を当てたものではなかった。ホリデーソングを軸に、多彩なジャンルのゲストが次々と加わる構成により、パフォーマンスは次第に“集合体”としての色合いを強めていく。ラップ界のレジェンドが土台を築き、その上に異なる音楽性が重ねられていく流れは、このクリスマス・ハーフタイムショーならではの特徴を際立たせていた。
ハントリックスが示したホリデーソングの新たな存在感
ステージの流れを大きく変えたのが、『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』でハントリックスを担当する歌手たちの登場だった。イージェイ、オードリー・ヌナ、レイ・アミは「The 12 Days of Christmas」を披露し、伝統的なホリデークラシックに現代的なアレンジを加えたパフォーマンスで強い印象を残した。
この楽曲は、数多くの著名アーティストによるホリデーソングのカバーが並ぶ中でも、ひときわ存在感を放つものとなり、ハントリックスと作品世界の広がりを改めて示す結果となった。彼女たちの楽曲「Golden」は、2月のグラミー賞で最優秀楽曲賞にノミネートされており、今回のステージは、音楽面での国際的な評価が着実に高まっていることを裏付ける場ともなった。
レイニー・ウィルソンが体現した“今年の顔”としての存在感
続いてステージに現れたのは、ソリに乗って登場したレイニー・ウィルソンだった。真っ白なジャンプスーツにカウボーイハットという装いで、「Santa Claus is Coming to Town」を力強く歌い上げると、会場の空気は一変し、彼女に注目が集まった。
このクリスマス出演は、ウィルソンにとって節目の一年を締めくくる象徴的な場ともなった。11月に開催されたCMAアワードでは最多受賞者となり、カントリー音楽界における存在感を決定づけた2025年。その歩みを振り返るかのように、この日のパフォーマンスは、華やかさと確かな実力を同時に示すものとなっていた。
ボチェッリ親子が導いた静謐なフィナーレ
ショーの最後を飾ったのは、父子で登場したアンドレア・ボチェッリとマッテオ・ボチェッリだった。ふたりは「White Christmas」を静かに歌い上げ、賑やかさに満ちていたステージを穏やかな余韻で包み込んだ。
このフィナーレにはスヌープ・ドッグをはじめ、その夜に登場した全てのゲストが再び集結し、ジャンルや世代の垣根を越えた一体感が生まれた。ラップ、カントリー、K-POP、クラシックが交差したこの構図は、今回のクリスマス・ハーフタイムショーを象徴する光景となった。
NFLがクリスマス当日にハーフタイムコンサートを実施したのは、これで2度目となる。昨年はビヨンセが「ビヨンセ・ボウル」と呼ばれるパフォーマンスを披露し、大きな話題を呼んだ。
スヌープ・ドッグにとっては、クリスマスのハーフタイムショーへの出演は今回が初めてだったが、NFLの大舞台そのものには馴染み深い存在である。2021年、ロサンゼルスで開催されたスーパーボウルでは、ドクター・ドレらと共に高く評価されるハーフタイムショーを披露している。
ジャンルも世代も異なるアーティストたちを自然に結びつけた今回のステージは、クリスマスという特別な一日を背景に、NFLハーフタイムショーの新たな可能性を示す一夜となった。
