なぜか「悪魔のイラスト」がネットで大流行している今、オススメの悪魔映画をご紹介。
“ヤンガンティタン”ってそもそも何…?
X(旧Twitter)で、なぜか“マイナーな悪魔”が大バズりしている。その名も「ヤンガンティタン(ヤン=ガン=イ=タン)」。「地獄の辞典」(19世紀・仏)に記載のある“Yan-gant-y-tan(火持ちのヤン)”とは、フランス北西部ブルターニュ半島のフィニステール県で伝承される悪魔だそう。夜に現れると、指1本1本についた火の灯ったろうそくを高速回転させるという奇怪な存在だ。
不吉の象徴で、金の入った小袋などによって出現を避ける必要がある悪魔のようだが、なんともひょうきんな顔と独特のポーズからXでは色々なセリフを言わせる大喜利のようなムーブメントが起きており、さらに他の個性的な悪魔たちのイラストまで引っ張り出された結果、世はまさに大悪魔時代に突入している。
映画好きとしては、今こそ悪魔が登場する映画を世に向けて発信するいい機会!ということで今回はオススメの悪魔映画を6本、ご紹介する。
『エクソシスト』(1973年)
まずは入門編として、多くの人がタイトルは聞いたことがあるだろう今作をご紹介。“悪魔に取り憑かれてしまう映画”といえば今作だろう。
様子がおかしくなってしまった娘と、焦る母。不可解なことが続き誰もが匙(さじ)を投げる中、呼ばれてきたエクソシスト(悪魔祓い)は事態を解決できるのか?
人体があり得ない方向に曲がったり、取り憑かれた子どもとは思えない声でささやいてきたり、王道な悪魔ホラーを楽しめる傑作だ。
『ヴァチカンのエクソシスト』(2023年)
2023年のヒット作。主演として“戦う神父”ガブリエーレ・アモルトを演じたのは、『グラディエーター』『レ・ミゼラブル』のラッセル・クロウ。アモルト神父は2016年まで存命だった実在のエクソシストで、今作も彼の残した「エクソシストは語る」という書籍をベースにしている。
勢いのあるバトルだけでなく、悪意に満ちた悪魔の精神攻撃も今作の魅力。今作の悪魔はただ怪奇現象や憑依した人間の動きで怖がらせるわけではなく、言葉によって人間を傷つけ、心の傷を抉って追い詰めてくる。
『エミリー・ローズ』(2005年)
「神秘VS科学」を描くホラー作品といえば今作。悪魔の存在を法廷で証明しようと奮闘する様子が独特だ。
超科学的な存在を証明するために色々な専門家の力を結集したりする現実的なパートと、悪魔の暴走に立ち向かう超現実的なパートのバランスが今作の魅力。
『へレディタリー 継承』(2018年)
謎多き老女がこの世を去り、その娘夫婦や孫たちが、“亡き老女が遺したもの”に日常を狂わされていく…。一定数“最恐ホラー”との声も上がっている作品。
監督は『ミッドサマー』『ボーはおそれている』の奇才アリ・アスター。スリリングな恐怖、伏線が繋がる寒気のような恐怖、人間が狂気に駆られる“カオス”な恐怖、人体が破壊されるスプラッタ系の恐怖、さまざまな恐怖を1作で味わえる、ホラー好きにはたまらない1作だ。
『オーメン:ザ・ファースト』(2024年)
6月6日午前6時に生まれた悪魔の子・ダミアンと、彼をとりまく人々の戦慄の連続死を描き、全世界を恐怖に包み込んだレジェンド・オブ・ホラー『オーメン』の、“はじまり”を描く最新作。
教会と修道女(シスター)、孤児院、悪魔、不穏な数字“666”、謎めいた陰謀、讃美歌めいた音楽、ジャンプスケア、思った以上に過激な描写…“これぞ宗教ホラー”という大量の要素を“人コワ”と一緒に洗練された作風に詰め込んだ、新たな王道ホラー映画だ。
オリジナル版へのリスペクトを感じさせる、じめじめと陰湿な空気感も嬉しいところ。冒頭の衝撃シーンでオマージュを捧げるなど、「久々の前日譚」ならではのファンへの目配せも忘れない。
『ファウスト』(1994年)
本物の狂気を浴びたい映画マニアにオススメなのが今作。『アリス』『オテサーネク 妄想の子供』など、独特の世界観を持った作品で知られるチェコ・スロヴァキアの奇才ヤン・シュヴァンクマイエルが黒魔術に手を出した天才学者ファウストの戯曲をアレンジした映画。
遠くからゴロゴロ転がってくる人形の首、ブルブル言いながら通り過ぎる悪魔…現実を描いているのか、舞台の演出なのか、それとも夢・幻想を描いているのかもわからなくなってくる、延々と不条理でシュール、不気味な展開が続く怪作だ。
