ギレルモ・デル・トロ監督の最新作『フランケンシュタイン』が、11月7日(金)よりNetflixで見放題配信中だ。メアリー・シェリーの不朽の名作を、デル・トロ独自の美学と哲学で再構築した本作は、彼の監督キャリアにおける集大成といえる一作となった。生と死の境界、人間の傲慢さ、そして愛と孤独――デル・トロが長年追い求めてきたテーマのすべてが、この新生『フランケンシュタイン』に結実している。
ギレルモ・デル・トロの集大成
“不老不死への渇望と生死の境界への問い”——このテーマはデル・トロが長編デビュー作『クロノス』からすでに追求されていたものだ。力ある者に翻弄される弱者、人間に搾取される異形の存在という権力構造も、『デビルズ・バックボーン』『パンズ・ラビリンス』『シェイプ・オブ・ウォーター』などで繰り返し描かれてきた。古典的な御伽噺の再解釈は『シェイプ〜』や『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』で結実し、『ヘルボーイ』シリーズをはじめほぼすべての作品において、彼は唯一無二のクリーチャーデザインを世に送り出してきた。そして『ナイトメア・アリー』では、人間の罪の意識が徐々に麻痺していく過程と、“人間と人外を分かつものは何か”という根源的な問いを投げかけた。
こうしてデル・トロ作品の系譜を辿ってみると、最新作『フランケンシュタイン』がいかに特別な位置を占めているかが見えてくる。本作には、これまで監督が探求してきたあらゆる要素が結集している。まさにギレルモ・デル・トロの監督キャリアにおける集大成であり、ひとつの到達点といえる作品だ。歴史を通じて愛され続けてきた古典「フランケンシュタイン」に、デル・トロ独自の視点と美学が惜しみなく注ぎ込まれ、妖しくも美しく、深く心を揺さぶる新生「フランケンシュタイン」物語がここに誕生した。

Netflix映画『フランケンシュタイン』一部劇場にて10月24日(金)より公開/Netflixにて11月7(金)より独占配信
圧巻の世界観
ギレルモ・デル・トロ監督特有の、美しさと浮世離れした不気味さが同居する美術は本作でも健在だ。世界観構築の名手である彼は、“怪物”の造形においても、グロテスクでありながらグロテスクに傾きすぎない絶妙なバランスを保ち、すべてのキャラクターに愛着を抱かせることに成功している。実験体のデザインには造形美と同時に、人工生命が孕む恐ろしさが禍々しく刻み込まれており、背筋を凍らせる戦慄がある。幻想的かつ壮大な撮影は世界観の美しさをさらに引き立て、淡い光が差し込むショットには神聖さと現実感が程よく溶け合った画が広がる。

Netflix映画『フランケンシュタイン』一部劇場にて10月24日(金)より公開/Netflixにて11月7(金)より独占配信
音楽を手がけるのは、デル・トロ作品ではお馴染みのアレクサンドル・デスプラ。彼の音楽は徹底してキャラクターの内面に寄り添う。客観的に見れば狂気じみた行為であっても、当人が喜びを感じていれば明るい旋律が流れる——この事実と心境の乖離こそが、本作が描くテーマや物語の核心と見事に呼応している。
普遍的かつ壮大なテーマと、豪華キャスト
本作が描くのは、人が切実に求めるたった一つの父性愛。そして人間の傲慢さと罪、それがもたらす犠牲と、尊い赦しの物語だ。孤独は狂気的な執着を生み、愛情は裏返って怒りや憎しみへと変貌する——そうした人間の情念のドロドロとした襞を丹念に描き出した脚本が、観る者を強く惹きつけてやまない。

Netflix映画『フランケンシュタイン』一部劇場にて10月24日(金)より公開/Netflixにて11月7(金)より独占配信
神をも超えようとする傲慢さと支配欲、飽くなき好奇心を体現したオスカー・アイザック、芯のある主張とミステリアスな存在感で画面を支配するミア・ゴス、特殊メイクの中で激情と孤独を見事に表現したジェイコブ・エロルディ、強迫的な演技で強烈な爪痕を残すクリストフ・ヴァルツ――デル・トロの元に集結した豪華キャストの熱演が、この壮大な物語をさらに深く、力強いものへと昇華させている。

Netflix映画『フランケンシュタイン』一部劇場にて10月24日(金)より公開/Netflixにて11月7(金)より独占配信
ギレルモ・デル・トロというひとりの映像作家が辿り着いた、究極の怪物譚。『フランケンシュタイン』は、古典への敬意と現代的な問いかけが見事に融合した、圧倒的な傑作だ。デル・トロの集大成ともいえる本作を、ぜひその目で確かめてほしい。11月7日(金)よりNetflixで見放題配信中。

