スティーヴン・スピルバーグ監督の最新作『Disclosure Day(原題)』予告編が公開され、UFOジャンルへの回帰が明らかになった。
スティーヴン・スピルバーグ監督による極秘プロジェクトが、ついにその姿を現した。ユニバーサル・ピクチャーズは、同監督の最新作『ディスクロージャー・デイ』(原題:Disclosure Day)の予告編映像を公開。2022年の『フェイブルマンズ』以来となる本作は、スピルバーグが長年取り組んできたUFOジャンルへの回帰作として注目を集めている。
UFO映画の巨匠が再び未知の領域へ
1977年の『未知との遭遇』でUFO映画を現代的なエンターテインメントとして確立し、1982年の『E.T.』、2005年の『宇宙戦争』へと発展させてきたスティーヴン・スピルバーグ。78歳となったオスカー受賞監督が、再び同ジャンルに挑む。
『ディスクロージャー・デイ』はニュージャージー州内外で撮影されたが、その制作過程はスピルバーグ作品の中でも異例とも言えるほど秘密裏に進められてきた。マーケティングキャンペーンも同様に謎めいており、ニューヨークとロサンゼルスに掲出された「すべてが明るみに出る(All will be disclosed)」というキャッチコピーの看板が、作品の存在をほのめかす最初の手がかりとなった。
公開された予告編では、UFOやエイリアンの姿は直接描かれない。しかし、ジョシュ・オコナー演じるキャラクターが「人々には真実を知る権利がある、70億人全員に」と語る場面などを通じて、“何かが明かされようとしている”という緊張感が全編に漂っている。
予告編が示すのは“開示”そのものではなく問いかけ
公開されたティーザー予告編は、UFO映画でありながら、その姿を一切見せない構成となっている。映像はあくまで断片的で、異変の存在を直接的に描写することはなく、観る者の想像力を刺激する演出に徹している。
予告編には「なぜ【神は】こんなに広大な宇宙を作っておきながら、それを私たちだけのものにしたんだろう?」との発言もある。ここで提示されるのは、エイリアンの存在そのものではなく、人類が宇宙の中でどのような位置にいるのかという哲学的な視点だ。
UFOや未知の生命体を“見せる”のではなく、“信じる理由”や“疑う意味”を語らせる構成は、スペクタクルに傾きがちな同ジャンルの中でも異彩を放っている。『Disclosure Day』は、単なるSF映画ではなく、現代社会における真実と情報の在り方を映し出す作品となる可能性を感じさせる。
豪華キャストと脚本家デヴィッド・コープの含みある発言
『Disclosure Day』には、エミリー・ブラント、ジョシュ・オコナー、コールマン・ドミンゴ、コリン・ファース、ワイアット・ラッセル、イヴ・ヒューソンといった実力派俳優が名を連ねる。ジャンル映画でありながら、重層的な人間ドラマを予感させる布陣だ。
本作はまた、スティーヴン・スピルバーグと脚本家デヴィッド・コープの再タッグ作品でもある。コープは『ジュラシック・パーク』や『宇宙戦争』を手がけてきた人物であり、スピルバーグ作品における“未知との接触”を言語化してきた重要な存在だ。
米『ザ・ハリウッド・レポーター』誌のインタビューで、本作が『未知との遭遇』と同じ映画的世界観の中で展開されるのかと問われたコープは、「まるで僕が答えるとでも思ってるのかい。悪いけど言わないよ!」と語っている。さらに「君は僕を騙して、言いたくないことを認めさせようとしてるんだ」と付け加え、物語の詳細については明確に口を閉ざした。
現代社会の空気と共鳴する“ディスクロージャー”という主題
『ディスクロージャー・デイ』の発表は、オンライン上でさまざまな憶測や陰謀論を呼び起こしている。スピルバーグの作品は長年、一部のUFO信奉者コミュニティから、人類が地球外生命体の存在について政府による情報開示を受け入れるための“準備”として機能してきたのではないかと解釈されてきた背景がある。
こうした反応は、決して突飛なものとは言い切れない。近年、アメリカではUAP(未確認空中現象)を巡る議会公聴会が開かれ、説明不能な方法で機動する飛行物体が領空を侵犯しているという証言が、現職および元政府関係者から相次いでいる。同様のテーマを扱ったドキュメンタリー『The Age of Disclosure(原題)』が話題を集めていることも、作品の時代性を際立たせる要素だ。
スピルバーグ自身も、これまでのインタビューで地球外生命体の存在を示唆してきた。「宇宙にいるのは我々だけじゃないと思うよ」「宇宙で知的生命体が我々だけだなんて、数学的にありえないと思うんだ」という発言は、長年にわたる彼の関心を物語っている。
UFOやエイリアンを直接描かず、真実とは何か、誰がそれを知るべきなのかを問いかける『ディスクロージャー・デイ』(Disclosure Day)。本作は、SF映画という枠を超え、情報と信頼が揺らぐ現代社会そのものを映し出す作品となるのかもしれない。米劇場公開は2026年6月12日を予定している。
日本版タイトル『ディスクロージャー・デイ』として、日本公開が2026年夏に決定。(12/19更新)
【動画】『ディスクロージャー・デイ』予告編
作品情報
出演:エミリー・ブラント、ジョシュ・オコナー、コリン・ファース、イヴ・ヒューソン andコールマン・ドミンゴ
監督:スティーヴン・スピルバーグ
脚本:デヴィッド・コープ
原案:スティーヴン・スピルバーグ
製作:クリスティ・マコスコ・クリーガー、スティーヴン・スピルバーグ
製作総指揮: アダム・ソムナー、クリス・ブリガム
© Universal Studios. All Rights Reserved.
配給:東宝東和
公式サイト:http://disclosureday.jp
X:https://x.com/universal_eiga
