ハリソン・フォードがアクター賞で生涯功労賞受賞-涙を見せスピーチ、演技への愛を語る

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ハリソン・フォード

ハリソン・フォードが生涯功労賞を受賞し涙ながらに語った。


ハリソン・フォードアクター賞(旧SAG賞)の生涯功労賞を受賞した。映画史に名を刻むスターとして60年以上第一線を走り続けてきた俳優であるが、壇上で語られたのは栄光ではなく、時間を生き抜いてきた者の実感であった。プレゼンターとして登壇したウディ・ハレルソンの軽妙な賛辞に包まれながらも、フォードは感情をこらえつつ、自身のキャリアについて静かに言葉を紡いだ。

ウディ・ハレルソンが語った“伝説”の肖像

授賞式はNetflixで生中継され、壇上に立ったウディ・ハレルソンはユーモアを交えながらフォードを紹介した。

「君は小指の先だけで……俺の小指全体よりも才能がある」と切り出し、会場の笑いを誘うと、「世界中の俳優の中で、君はその一人だ。業界の誰もが……君のことを知っている」と続けた。

さらにハレルソンは、「ハリソンは真のルネサンス人だよ。伝説的な俳優で、腕の立つパイロットで、自分の家を自分で建てた大工の名手でもある」と称賛し、「彼がすることすべて、スクリーンに映るすべての瞬間に、言葉では言い表せないエネルギーが宿っている」と、その存在感を言葉にした。

なおハレルソンは、なぜ自身がプレゼンターを務めることになったのかについて、「1923」での共演者ヘレン・ミレンに断られ、元副大統領のカマラ・ハリスも都合がつかなかったため頼まれたのだとジョークを飛ばし、会場を沸かせた。実際には、両者は長年の友人である。

ハリソン・フォード受賞スピーチ「生き延びたことに対して賞をもらいにここに来ています」

フォードのアイコニックなキャリアを振り返る映像が上映された後、本人が壇上に立った。会場からのスタンディングオベーションを受けながら、フォードは感情をこらえるように言葉を選んだ。

「このような温かいお気遣いをいただけることを、心から感謝しています。しかし正直に言えば、非常に恐縮してもいます」と切り出し、「この会場には多くの俳優がいて、その多くは素晴らしい仕事で賞にノミネートされてここにいる」と続けた。

そして、わずかに間を置きながら、こう語った。

「そして私は……生き延びたことに対して賞をもらいにここに来ています」

その言葉は自嘲でも誇示でもなく、長い年月を第一線で過ごしてきた俳優の率直な実感として響いた。60年以上にわたりスクリーンの中心に立ち続けてきた男は、功績を語るのではなく、時間を重ねてきた事実そのものを受け止めていた。

ハン・ソロ、インディ・ジョーンズ、リック・デッカードといった象徴的な役柄の数々は、いまや映画史の一部である。しかしフォード自身は、それらを“過去の栄光”としてではなく、現在へと続く道のりの一部として捉えているように見えた。

それでもなお“現役”であり続ける理由

フォードは生涯功労賞の第61代受賞者となり、メアリー・タイラー・ムーア、シドニー・ポワチエ、ベティ・ホワイト、ジェーン・フォンダ、ロバート・デ・ニーロ、エリザベス・テイラー、ジェームズ・アール・ジョーンズといった名優たちに連なることになった。

これまでにも、クリティクス・チョイス・キャリア功労賞(2024年)、カンヌ映画祭名誉パルム・ドール(2023年)、BAFTAのアルバート・R・ブロッコリ・ブリタニア賞(2015年)、ゴールデングローブのセシル・B・デミル賞(2002年)、AFI生涯功労賞(2000年)など、数多くの栄誉を受けてきた。

しかしフォードの歩みは、回顧の対象として完結しているわけではない。昨年はAppleのドラマシリーズ『シュリンキング 悩めるセラピスト』での演技により、初のエミー賞ノミネートを果たした。同作で演じるのは、パーキンソン病の診断を受けたパサデナの心療内科の上級メンバー、ポール・ローズ医師である。円熟と脆さを併せ持つ役柄は、新たな評価を呼んだ。

そのノミネートを知った数日後、Varietyの独占インタビューでフォードは、自身の原点についてこう語っている。

「すぐに気づいたんだよ、物語を語ることが大好きだってね。着替えて、別の誰かのふりをするのが楽しかった」

さらに、「キャラクターの後ろに隠れることができて、それが初めて感じた本当の自由だったよ」と振り返った。

大学時代に芽生えたその感覚は、60年以上を経た今も変わっていないのかもしれない。生涯功労賞という節目に立ちながらも、フォードは過去を語る俳優ではなく、いまも物語の中に身を置き続ける現役の表現者である。

功績の集大成としての受賞でありながら、その姿は終着点ではなく、なお続いていく時間の途中にあった。

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