ルーカスフィルムが社長交代を発表し、14年続いた体制に節目が訪れた。
ルーカスフィルムは、14年間にわたりスタジオを率いてきたキャスリーン・ケネディ社長の退任と、新たな経営体制への移行を発表した。今後はデイヴ・フィローニとリンウェン・ブレナンによる新体制のもと、同スタジオは次なるストーリーテリングの章へと進む。
ルーカスフィルム、14年ぶりのトップ交代を発表
ルーカスフィルムは、2012年から社長を務めてきたキャスリーン・ケネディが退任することを明らかにした。ケネディは今後、スタジオ運営の第一線からは退くものの、『スター・ウォーズ/マンダロリアン・アンド・グローグー』や『スター・ウォーズ/スターファイター』といった劇場公開予定作品のプロデューサー業には引き続き関わる。
新たな体制では、『スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ』や『マンダロリアン』などを通じてシリーズの世界観構築を担ってきたデイヴ・フィローニが、社長兼チーフ・クリエイティブ・オフィサーに就任し、クリエイティブ部門を統括する。また、長年にわたり技術・ビジネス両面でスタジオを支えてきたリンウェン・ブレナンが共同社長として経営面を担う。
スタジオは、ふたりの協力体制によって「創造的ビジョンと業務運営のリーダーシップという強固な基盤のもと、次なるストーリーテリングの章へと進んでいく」としている。
フィローニが語る継承と責任-スター・ウォーズに育てられた作り手として
新たに社長兼チーフ・クリエイティブ・オフィサーに就任するデイヴ・フィローニは、自身の歩みがキャスリーン・ケネディとジョージ・ルーカスの映画によって形作られてきたことを明かしている。
「僕の物語への愛は、キャスリーン・ケネディとジョージ・ルーカスの映画によって形作られたんだ」と語り、両者から直接映画製作を学んできた経験を振り返った。その上で、ケネディが社長として果たしてきた役割についても、「レイからグローグーまで、キャシーはこれまでにないスター・ウォーズの映像ストーリーテリングの拡大を監督してきたんだ」と評価している。
また、新体制への移行にあたり、フィローニはスタジオ内外から寄せられた信頼への感謝も口にした。「キャシー、ジョージ、ボブ・アイガー、そしてアラン・バーグマンの信頼と、この新しい役職でルーカスフィルムを率いる機会を与えてくれたことに、心から感謝しているよ」と述べ、「本当に愛している仕事なんだ。フォースと共にあらんことを」と言葉を結んでいる。
このコメントからは、トップ交代が単なる人事刷新ではなく、スター・ウォーズの創作精神を受け継ぐ形で行われるものであることがうかがえる。
ブレナンが担う経営と技術-新体制を支えるもう一つの柱
共同社長に就任するリンウェン・ブレナンは、ルーカスフィルムを長年にわたって内側から支えてきた経営・技術分野の中核的存在である。1999年に同社へ入社後、インダストリアル・ライト&マジックでキャリアを積み、2009年には同社のトップに就任。2015年以降はルーカスフィルム全体のゼネラルマネージャーとして、スタジオ運営を担ってきた。
ブレナンは今回の新体制について、ルーカスフィルムを「他に類を見ない反骨精神を持つ、刺激的なストーリーテラーたちのコミュニティ」と表現し、その歩みを内側から見てきた立場を示している。そして、「デイヴ・フィローニと共にこの先へと進んでいけることを光栄に思う」と語り、クリエイティブと経営の協働体制に強い期待を寄せた。
また、これまでジョージ・ルーカス、キャスリーン・ケネディ、アラン・バーグマンから学んできた経験に触れながら、「この歴史あるスタジオのレガシーにおける次章に対するデイヴのクリエイティブ・ビジョンを揺るぎなく信じているの」と述べ、新体制の方向性を明確にしている。
視覚効果協会からの生涯功労賞や大英帝国勲章コマンダー(CBE)の受章に象徴されるように、ブレナンは技術革新とスタジオ経営の両面で評価されてきた人物であり、フィローニのクリエイティブ主導と対をなす存在として、新生ルーカスフィルムを支えることになる。
ディズニー買収後の14年-ケネディ体制が築いたもの
キャスリーン・ケネディのルーカスフィルム社長としての歩みは、2012年にディズニーが同社を買収した年に始まった。ウォルト・ディズニー・カンパニーのCEOであるボブ・アイガーは当時を振り返り、「10年以上前にルーカスフィルムを買収したとき、私たちはディズニーファミリーに、これまでに生み出された中で最も愛され、永続的なストーリーテリング・ユニバースの一つだけでなく、ビジョナリーな映画製作者が率いる並外れた才能のチームも迎え入れることを知っていた」と述べている。
その上でアイガーは、ケネディが「ジョージ・ルーカス自身が選んだ人物だった」ことに触れながら、「キャスリーン・ケネディのリーダーシップ、そのビジョン、そして象徴的なスタジオとブランドの管理者としての手腕に深く感謝しています」とコメントした。
また、ディズニー・エンターテインメント共同会長のアラン・バーグマンも、「彼女はスター・ウォーズを驚異的な興行成績へと導き、新世代のファンを取り込んできた」と評価し、約14年にわたる在任期間を「私たちの特権だった」と位置づけている。
ケネディの任期中、ルーカスフィルムは『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』を皮切りに、新たなスカイウォーカー・サーガ三部作を展開し、いずれも世界興行収入10億ドルを超える成功を収めた。また、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』を通じてスピンオフ映画の可能性を広げ、そこからドラマシリーズ「キャシアン・アンドー」へと世界観を拡張している。
実写ドラマ分野では『マンダロリアン』をはじめ、『オビ=ワン・ケノービ』『アソーカ』などを制作し、アニメーションでも『スター・ウォーズ:バッド・バッチ』『スター・ウォーズ:ビジョンズ』といったシリーズを送り出した。これらの取り組みは、映画とテレビの両軸でスター・ウォーズを再定義する試みとして進められてきた。
「想像もできなかった」-ケネディが振り返る14年とその先
キャスリーン・ケネディ自身も、今回の節目について言葉を寄せている。ジョージ・ルーカスから社長職を引き継いだ当時を振り返り、「ジョージ・ルーカスが引退に際して私にルーカスフィルムを引き継ぐよう依頼してきたとき、この先に何が待っているか想像もできなかったの」と語った。
その後の14年間については、「10年以上にわたってルーカスフィルムの並外れた才能たちと共に働けたことは、真の特権だったよ」と述べ、スタジオに集ったクリエイターたちへの敬意を示している。また、「彼らの創造性と献身は刺激的で、私たちが共に成し遂げたことを深く誇りに思っている」と振り返り、在任期間を総括した。
一方でケネディは、今後についても明確な意思を示している。「長年の協力者たちと、ストーリーテリングの未来を代表する新鮮な声の両方と共に、映画やテレビ作品を開発し続けられることにワクワクしてる」と述べ、プロデューサーとして創作の現場に戻る姿勢を強調した。
現在ケネディは、長編映画『マンダロリアン・アンド・グローグー』およびショーン・レヴィ監督による『スター・ウォーズ/スターファイター』をプロデュースしており、両作はそれぞれ2026年と2027年の劇場公開が予定されている。今回の社長退任は、キャリアの終幕ではなく、新たな役割への移行として位置づけられている。
キャスリーン・ケネディがプロデューサー業へと軸足を移し、デイヴ・フィローニとリンウェン・ブレナンが新たな体制を担うことで、ルーカスフィルムは大きな節目を迎えた。創作を主導してきた人物がスタジオの舵を取り、長年内部から支えてきた経営・技術の責任者がそれを補完する構図は、同社が次の時代に向けて選んだかたちでもある。
14年にわたる体制が一区切りを迎える一方で、スター・ウォーズを中核とする物語世界は、受け継がれた精神のもとで新たな展開へと進んでいくことになる。



