『パディントン』のポール・キングが、世界的に人気を集めるキャラクター「ラブブ」の映画を監督する。
『パディントン』シリーズや『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』を手がけたポール・キングが、モンスターフィギュア「ラブブ」を題材とした映画の監督に起用されたと米『ザ・ハリウッド・リポーター』誌が報じている。ソニー・ピクチャーズは映画化権を獲得してから約1か月後に同監督を迎えることを決定し、世界的なコレクターズアイテムとして知られるキャラクターを大スクリーンで実写化するプロジェクトを本格始動させている。
ポール・キング起用が決定、ソニーが映画化を始動
本作でキングは監督を務めるとともに、Department Mおよびウェンシン・シェと共同でプロデュースも担当する。プロジェクトは現在、初期開発段階にあり、脚本家はまだ決定していない。製作はソニーが、中国の小売企業でありラブブのブランドオーナーでもあるPop Martと協力して進める。
なお、本件についてソニーはコメントを発表していない。
香港出身アーティストが生んだキャラクター「ラブブ」
ラブブは、香港出身でヨーロッパを拠点に活動するアーティスト、カシン・ルンによってデザインされたキャラクターである。当初はデザイナーズトイブランドHow2 Workが手がけるモンスターフィギュアシリーズの一部として製作されていたが、2019年に中国の小売企業Pop Martが製造・販売を引き継いだことで、より広い市場へと展開されるようになった。
Pop Martはコレクター向けアイテムを数多く扱う企業として知られており、ラブブもそのラインナップの中で存在感を高めていった。当初は一部のファンを中心に支持を集めていたが、のちに世界的な人気へと発展していく下地は、この段階ですでに形作られていたと言える。
ブラインドボックス販売が生んだ急速な市場拡大
ラブブの人気が近年急速に拡大した背景のひとつに、Pop Martが採用した「ブラインドボックス」方式での販売がある。この方式では、購入者はパッケージを開封するまでどのデザインの人形が入っているか分からず、偶然性が購買意欲を刺激する仕組みとなっている。
こうした販売形態により需要が高まった結果、二次市場も過熱した。コレクターたちはオンライン上の取引やポップアップセール、実店舗などを通じて目当ての人形を入手しようとし、限定版のアートワークやオークションでは、6桁の価格に達する商品も出ている。
著名人の使用が後押しした世界的な注目
ラブブの人気拡大を後押ししたもうひとつの要因として、著名人による使用が挙げられる。特に、K-POPグループBLACKPINKのメンバーであるLISAが、2024年にラブブをアクセサリーとして取り入れたことは、大きな注目を集めた。
こうした露出をきっかけに、ラブブは従来のコレクター層にとどまらず、ファッションやポップカルチャーの文脈でも認知を広げていった。ブラインドボックス販売による市場の拡大と、著名人による可視化が重なったことで、キャラクターとしての存在感は一段と強まることとなった。
ラブブを中心に広がるキャラクターシリーズ
ラブブは、このモンスターフィギュアシリーズにおける主役の名前であり、単体のキャラクターではなく、複数の登場人物によって構成された世界観を持っている。シリーズには、リーダー的存在のジモモや、仲間のモココ、ラブブのボーイフレンドであるタイココといったキャラクターが含まれている。
それぞれのキャラクターには個別の設定や関係性が与えられており、コレクターズアイテムとしてだけでなく、物語性を伴ったシリーズとして支持を集めてきた。こうした背景は、ラブブが実写映画化の題材として選ばれた理由のひとつとも言えそうだ。
『パディントン』『ウォンカ』を手がけた監督のこれまで
ポール・キングは、『パディントン』第1作および第2作で監督と共同脚本を務め、その風変わりで心温まる作風で評価を集めた。シリーズは英国アカデミー賞(BAFTA)にもノミネートされ、家族向け作品として広く支持を獲得している。第3作となる『パディントン 黄金郷の秘密』では、脚本を共同執筆し、製作総指揮も担当した。
直近では、ワーナー・ブラザース製作の『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』を監督。ウィリー・ウォンカの起源を描いた同作は、ティモシー・シャラメを主演に迎え、世界興行収入6億3500万ドルを記録している。
